柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『ピア まちをつなぐもの』 ぴあと言っても情報誌ではない。そこで汗を流す人々の尊さを訴える「介護・在宅医療エクスプロイテーション映画」!

公式サイトより

『ピア まちをつなぐもの』

監督 綾部真弥
原作・企画・プロデュース 山国秀幸
脚本 藤村磨実也、山国秀幸
撮影 伊藤麻樹
音楽 遠藤浩二
出演 細田善彦、松本若菜、川床明日香、竹井亮介、戸塚純貴、尾美としのり、水野真紀、升毅

 

face ぴあと言っても情報誌ではない。このタイトルになってる“ピア”とはpeer、英語で同僚、仲間という意味だそうで、介護・在宅医療業界では医師をサポートする「仲間」の呼び名であるらしい。というわけで介護・在宅医療の重要さとそこで汗を流す人々の尊さを訴える介護・在宅医療エクスプロイテーション映画。これ、同じく在宅介護をテーマにした『ケアニン~あなたでよかった~』(2017)という映画が2017年にあったのだが、その映画で味をしめた(?)エグゼクティブプロデューサーの山国秀行が原作を書きおろし、『ケアニン』に先輩ケアマネージャー役で出演している松本若菜を同じ役で引っ張って、特別協賛の相手を介護からさらに医療業界まで幅広く揃えて金を集めた自作の二番煎じスピンオフ、まさにエクスプロイテーションの鑑みたいな映画なのである。前作のヒロイン(認知症の老婆)が水野久美だったのに対し、本作のヒロイン(乳癌の切除手術を受けたが再発して在宅でのターミナルケアを受ける母)が水野真紀! 別にそんなところ前作に寄せなくてもいいと思うぞ!

 

 

大学病院でバリバリ最先端治療に取り組んでいた若手エリート医師高橋雅人(細田善彦)だったが、実家の父が倒れたので渋々家に戻り町医者を継ぐ。周囲からは聞えよがしに「町医者なんか二十年遅れてる。もう終わりだな」と嫌味を言われる。実際の病院では検査結果を見て診断を下していると、「患者の目を見ないか!」と昔なじみの近所のおじさんに頭をはたかれたりする。「おやじさんはちゃんと患者のことを思ってくれたぞ!」もちろん雅人は「面倒くさいなあ……」としか思わない。

ほどなく、脳梗塞で動かない身体をリハビリ中の父親から「往診も行ってくれないか」と頼まれる。「詳しいことはケアマネの夏海ちゃんに聞いてくれ」面倒くさいなあ……と思いながらも行くことにする雅人。行った先で待ち構えていたのがケアマネージャーの佐藤夏海(松本若菜)である。「白衣は着てこないでください! 車だと一通が多いからわたしは自転車ですけど!」といちいち突っかかってくる。現場にいた介護士をつかまえて

「この人はだれ?」
「ケアニンです」
「……なんだただのヘルパーか」

 またしても余計な一言で夏海の神経を逆撫でする雅人である。余計な手間などかけてられるかとケアマネの抗議を無視して手間のかからない治療を選択していくが、ヘルパーの意見を無視してベッドを推奨した老人がベッドから転げ落ちて骨折してしまう。「あんたなんか、在宅医療やる資格ない!」と夏海になじられてやっと反省。近所の総合病院院長倉松(尾美としのり)に紹介され、夏海に頭をさげて「他職種連携会議」に出席する。

 

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