柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『最果てリストランテ』 なんでこんな設定考えたんだ!話がほとんどレストランの中で起こるのでロケが安あがり、という以外にメリットを見いだせない  

公式サイトより

『最果てリストランテ』

監督・脚本・編集 松田圭太
企画・製作 嶋田豪
撮影監督 カトウジュンイチ
出演 ジュンQ、村井良大、真宮葉月、鈴木貴之、今野杏南、井澤勇貴、酒井萌衣、苅田昇、芳本美代子、山口いづみ、堀田眞三

 

 

「これはとある場所の小さな、小さなレストランの物語。そのレストランの営業時間は決まっていない。そこは人生でたった一度しか訪れることが出来ない。そこは三途の川を渡る前、最後の晩餐をとるためのレストラン」…

faceということで毎度おなじみ不思議なレストラン系の映画(こだわりの食事を出すレストランに集う人々の人間模様を描く)である。だがその手の映画の中でもこの自堕落さはちょっと特別かもしれない。まずこの不思議なレストランをやってるのがシェフのハン(ジュンQ)と店主兼ソムリエの岬(村井良大)という二人組、イケメン二人で女性人気もバッチリ!と思ったのか。それにしてもこの韓国人誰なんだ!と思いきや、オレがかつて主演映画『新大久保物語』をレビュウしたMYNAMEの人だった! で、このハンの包丁さばきがまるっきりたどたどしくて、とてもではないが伝説のレストランのシェフには見えない。

とは言ってもこのレストラン、実は来た人は料理の注文はできなくて、そのかわりにいちばん会いたい人を呼ぶシステムなのである。ただし、それは自分より先に死んでいる人じゃなければならない。で、その人と一緒に思い出の食事をしながら人生を語りあうという仕組み。なので食べるのはチャーハンとか豆乳鍋とか豚肉の生姜炒めといったごく平凡な、定食屋で出るような料理ばかりである。それなら素人みたいな手付きでも素朴でいいか……と思いきや、じゃあソムリエの立場は!? そう、ほとんどワインなんかいらない料理ばかりなので、岬のほうはさらにすることがなく手持ち無沙汰に突っ立ってるだけという……なんでこんな設定考えたんだ! 話がほとんどレストランの中で起こるのでロケが安あがり、という以外にメリットを見いだせない。ちなみにハンと岬は過去のことはまったく覚えておらず、ただ来る客を見ては料理を作り、三途の川へと送りだしつづけるという何かの罰を受けてるとしか思えないような立場である。

 

 

最初の話は四十年連れ添った妻を呼び出す老人。これは一応(これでも)まともなほうで、別に面白くもないがおかしなところもない夫婦愛の話が語られる。食べるのははじめての韓国旅行で食べたという思い出の冷麺(一応ここだけはシェフが韓国イケメンである意味が)。あ、ちなみにこの映画では食事を食べた人は全員ひとつの例外もなく「美味しい!」と叫ぶので、食事が美味しいことは否応なく脳裏に刻みこまれる仕組みである。で、「あなた、老けたわねえ」「おまえがいなくなってから、何をやってもおもしろくなくてな」「じゃあ一緒に行きましょう」と二人が旅立つ。よしよし。で、二人目に来るのがランドセルの小学生。

「学校行くはずだったのにここに来ちゃったの。ママは?」

 

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