『みとりし』 名門有楽町スバル座の最後の封切り作品がこの「看取り映画」というわけで、気がついたら自分が映画看取り士になっていた
→公式サイトより
『みとりし』
監督・脚本 白羽弥仁
原案 柴田久美子
撮影 藍河兼一
音楽 妹尾武
主題歌 宮下舞花
出演 榎木孝明、村上穂乃佳、高崎翔太、斉藤暁、大方斐紗子、片桐夕子、仁科貴、藤重政孝、杉本有美、河合美智子、つみきみほ、金山一彦、宇梶剛士、櫻井淳子
「みとりし」=看取り士とは「誰にでも訪れる最期の時、住み慣れた自宅や、本人の希望する形で、温かい死を迎えるために、旅立つ人、送る人をサポートし、医療行為はしないけれどもそれぞれの心に寄り添いながら見届ける人」だそうで、そんな職業があるのかよ!といいたいところだがこれからの高齢化社会、孤独死も増えていくわけだし、いっそ仕事にしてしまったほうがいろんなものがすっきりするかもしれないな……と思って見に行ったが、そこらへんの生臭い話は特に描かれず、なんとなくボランティアのような介護士のような感じの描かれ方であった。なお「看取り士」とは原作者でもある柴田久美子氏がはじめた活動であり、それに深く共鳴した榎木孝明の肝いりでこの映画が作られることになったのだという。
その本作、よりによって名門有楽町スバル座の最後の封切り作品となってしまった。戦前からの歴史を持つスバル座だが、独立系映画館の悲しさ、最近はすっかり地方映画の東京封切り館となっており、気がつくとぼくが足繁く通っていたわけである。その映画館がついに閉館。最後がこの「看取り映画」(舞台は岡山県高梁市)というわけで、気がついたら自分が映画看取り士になっていた!
交通事故で娘をなくし、生きる気力を失った柴(榎木孝明)は、ふらふらと踏切に飛び込もうとするが、「生きろ!」という声を聞いたような気がして立ち上がる。出社すると同期の名古屋支社長が癌で死亡していた。冷たい会社に愛想を尽かし、退社を決意した柴は同期の墓参りに行くが、そこで出会った見知らぬ女性(つみきみほ)から、身寄りのない彼の最期を看取ったのは「看取り士」の彼女だったということを知る。彼が死ぬ間際に虚空に向かって「生きろ」とつぶやいたのを聞かされた柴は、余生を看取り稼業に捧げることを決意する……
それから数年後、岡山県の山間部高梁市の方谷駅で、柴は新任の看取り士高村みのり(村上穂乃佳)の着任を待っていた。同じ列車で僻地医療に燃える若き医師早川奏太(高崎翔太)もやってくるが、別に二人のあいだにロマンスは起こらないし奏太は誰かが死ぬたびにベッドサイドに来て瞳孔反応を見て心音を聴いて「…九時五〇分、ご臨終です……」というだけの仕事なんで、以下略(ついでながら、わざわざ人が死にそうだからといって、自宅まで死亡判定のために医師が出張るなんてことはありませんので)。
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