柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『男はつらいよ お帰り寅さん』 帰ってこねえじゃないかよ!次回作は不条理映画『寅さんを待ちながら』でいいんじゃないでしょうか?

公式サイトより

男はつらいよ お帰り寅さん

監督・原作 山田洋次
脚本 山田洋次、朝原雄三
撮影 近森眞史
音楽 山本直純、山本純ノ介
主題歌 渥美清
オープニング 桑田佳祐
出演 渥美清、倍賞千恵子、吉岡秀隆、後藤久美子、前田吟、池脇千鶴、夏木マリ、浅丘ルリ子、美保純、佐藤蛾次郎、桜田ひより、小林稔侍、笹野高史、橋爪功

『皆殺し映画通信』新年会のお知らせ

 

帰ってこねえじゃないかよ!

ネタバレをお許し願いたい。寅さんは帰ってこない。いやわかってる。あれはあれだからもっぱら寅さんのことを満男(吉岡秀隆)が回想しまくる映画になるだろうとは思っていた。だけどあんだけ延々と「伯父さんがいたらなあ……」と満男が女々しくくりかえし、さくら(倍賞千恵子)が「いつ帰ってくるかわからないから二階は空けてあるのよ」というんだから、さすがに映画の最後にはCGでもなんでも帰ってくるものなんだろうと思ってたら、帰る気配もなく、ひょっとしたら流れた先で死んで行旅死亡人として官報に載っているのにくるまやの面々は「そろそろ帰ってくるころなのにおかしいなあ」とか暢気に構えてるみたいな話なんだろうかと戦慄していたのだが結局帰ってこないまま映画は終わってしまい、小説家になっている満男が『おかえり寅さん』という小説を書いているというエンディング。つまりこのすべてが満男の妄想だったという徒労としか言えないメタフィクションだったのだが、それだったら第49作『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別編』と同じじゃないかよ! 何も進歩していない……

 

 

それよりも恐ろしいのは時間の停滞感である。これがいつの話なのかははっきり明記はされないのだがおそらくは二〇一九年、現代の話であろう。くるまやのおなじみの面々もそれぞれに年をとった。博(前田吟)は禿げあがり、さくらは総白髪で老眼鏡をかけている。若くして死んだ満男の妻ひとみの命日で、御前様がお経をあげる。いやちょっと待った。御前様はさすがに死んでるだろ!

 

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