柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『AI崩壊』  「ワタシガジンルイヲセンベツスル」……懐かしの“セントラル・コンピュータ”が反乱を起こす系映画。これが馬鹿にでもわかる映画作りだ!

公式サイトより

AI崩壊

監督・脚本 入江悠
撮影 阿藤正一
音楽 横山克
主題歌 AI
AI監修 松尾豊、松原仁、大澤博隆
出演 大沢たかお、賀来賢人、広瀬アリス、岩田剛典、高嶋政宏、芦名星、玉城ティナ、余貴美子、松嶋菜々子、三浦友和

 

去年から続くAI映画ブームの大本命、大沢たかお主演のAIサスペンス・アクション超大作の登場だ! とはいっても実は登場するAIのレベルは『センターライン』あたりとあまり変わってなくて、巨大なサーバにカメラとマイク、スピーカーとプロジェクターがそなわっており、「ワタシガジンルイヲセンベツスル」みたいなことを言いだすという……懐かしの“セントラル・コンピュータ”が反乱を起こす系映画である。さらに古臭く思えるのが、主人公が「ちょっと待て!」というと悪役の側は主人公が真相をすべて説明し終わるまで待ってくれ、それから陰謀のすべてをわざわざ告白して逆転されるというまだるっこしい展開。「わかりやすさ」はどこまでも徹底しており、ひとつ展開があるたびに、その“伏線”である場面をいちいちインサートする編集。「まだデータが足りないって言ってただろう!」と突っ込むセリフがあれば「まだデータが足りないな」と言う場面を差し込む。これが馬鹿にでもわかる映画作りだ!

 

 

物語は2023年にはじまる。東北先端情報大のAI研究者桐生(大沢たかお)は妻の望(松嶋菜々子)、義弟の西村悟(賀来賢人)とともに「創薬AI」の開発を進めていたが、厚生省の認可がおりず、癌になった妻を救うことができなかった。この「創薬AI」がどんなものかさっぱりわからないんであれなんだけど、後に実用化されるもののプロトタイプだとしたら、そんな万能の効果はないんじゃないかなあ……ともかく深い挫折を味わった桐生、医療AI「のぞみ」を完成させると、その運営を義弟西村にゆずって自分は娘心(田牧そら)とともに「人間らしいくらしをしてくるよ」とシンガポールに旅立つ。日本では、すべての医療機器とウェアラブルデバイスの情報を一元管理する「のぞみ」の力で医療ユートピアが出現。2030年、桐生は功績をたたえての総理大臣表彰を受けることになり、「のぞみ」運営会社HOPE社の新データセンター完成にあわせて数年ぶりに来日することになる。

 

 

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