柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『白爪草』 全出演者VTuber。もちろん演技なんてものはなく、手をふらふら振りまわして口をパクパクするだけの地獄のような映像。よくもこれで1800円取れるな賞を差し上げたい

公式サイトより

白爪草

監督 西垣匡基
脚本 我人祥太
出演 電脳少女シロ、花京院ちえり、神楽すず、カルロ・ピノ、もこ田めめめ、ヤマト イオリ
主題歌 SIRO

 

全出演者VTuber。いやあすごい時代が来たものである。だがそもそもVTuberって3Dの美少女アバターをかぶったおっさんがゲーム実況やったり毒舌でおしゃべりしたりとかってコンテンツなわけでしょ? それが映画に「出演」ってどういう意味なのか。単に解像度の低いキャラが突っ立って合成音声で喋るだけのアニメなんじゃないのそれは?と思ったら本当にそうなんだよ! しかも全出演者とか言ってるけどほとんどのメンバーは声だけ。間違い電話かけてくるとかそのレベル。メインキャストは「電脳少女シロ」ただ一人。これが一人二役で双子の姉妹を演じて、同じ顔の二人がお互いに両親を殺したのはおまえだいやおまえだと同じ声で言い合いを続けるという地獄のような映像が続く。もちろん演技なんてものはなく、手をふらふら振りまわして口をパクパクするだけ。よくもこれで1800円取れるな賞を差し上げたい。なお、「電脳少女シロ」をはじめとする登場VTuberはすべてアップランドが製作・運営する商業キャラである由。

 

 

フラワーショップ「花組」で働く白椿蒼(アオ)は、心に悩みをかかえてカウンセラー桔梗(カルロ・ピノ)に相談している。今日は意を決し、その根幹である姉との対決を決意する。お店が閉じたあと、バックヤードで片付け中に姉の紅(ベニ)が訪れる。演じるのはどちらも「電脳少女シロ」ってこの場合の「演技」ってなんなの? 「演出」ってなんなの? 「監督」の仕事はどこからどこまでなの? まあ「中の人」次第ということなんだろうなあ。そこらへんを突き詰めればいろいろ興味ぶかい議論になりそうな気もするのだが、もちろんそんなことを気にしている人はどこにもいないのだった。

さて、そういうわけで登場した紅。同じ顔で同じ声の人が二人並べば魅力も二倍! 探り合う茫洋とした会話(上映時間延ばし)が続くのだが、やがて意を決したアオがなぜあんなことをやったのかと訊ねると、ベニは「何も覚えてない」と答える。なんですって? 両親を殺しておきながら何も覚えてないとか、そんなことがあるの? それに対してベニは、本当は両親を殺したのはアオであるにもかかわらず、その罪を自分になすりつけたのだと言い返す。真っ向対立するベニとアオの言い分、どちらが真実なのか?

 

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