柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『やまない雨はない』 幻すぎて存在自体が知られておらず、封印されたことすら誰も気づいていない。そんな幻のマダム・シンコの豹柄一代記、主演は堂々川上麻衣子である

公式サイトより

やまない雨はない

監督・脚本 北崎一教
原作 マダム信子
撮影監督 岡田賢三
音楽 松本タカヒロ
出演 川上麻衣子、永井大、清瀬ひかり、藤川心優、瀧澤しほ、小林さり、逢澤みちる、マダム信子、島津健太郎、ケチャップ河合

 

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マダム・シンコは新大阪駅をはじめ、ターミナル駅やショッピングモールなどに入っている洋菓子チェーンとして関西地方では知らぬ人なき存在だ。そのオーナーであるマダム信子はいつも豹柄ファッションでお店の広告塔として出張る典型的関西のおばさんとして店と並んで、いや店以上に有名である。少なくとも関西ローカルでは。

その彼女の伝記映画が作られたのは2017年、マダム・シンコの本拠地(本店もある)である大阪府箕面市の109シネマズ箕面で先行公開され、その後全国公開の予定であった。ところが待てど暮らせど一向に公開される予定がない。DVD発売も延期され、そのまま幻の映画となってしまったのである。問題は、誰一人これが幻の映画であるということすら知らないということだ。幻すぎて存在自体が知られておらず、封印されたことすら誰も気づいていない。そんな幻の豹柄一代記、主演は堂々川上麻衣子である。

 

 

雨の中、マダム・シンコの店舗にケーキを買いにきた少女。店を出るとものすごくわざとらしく芸術的な転び方をしてケーキを潰してしまう。店から飛び出してきたマダム信子(川上麻衣子)は少女にケーキをもうひとつサービスしてあげる。と、見上げると、いつのまにか雨はあがっていた。やまない雨はない! なお、この映画では登場人物の感情に合わせて雨がふり、そしてきれいにタイミングを見計らってやむシステムになっております。

 

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