柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『種まく旅人~華蓮のかがやき~』 『キル・ビル』で鉄球をふりまわしていたときには世界だって征服できそうだった千明さまだったのに、ぼくらはどこで道を間違ってしまったんだろう……

公式サイトより

書籍版シリーズ第8弾
『皆殺し映画通信/地獄へ行くぞ!』
発売中

5/22(土)
『皆殺し映画通信/地獄へ行くぞ!』
発刊記念ライブ!!開催

種まく旅人~華蓮のかがやき~

監督 井上昌典
脚本 森脇京子
撮影監督 阪本善尚
出演 栗山千明、平岡祐太、大久保麻梨子、木村祐一、永島敏行、綿引勝彦、吉野由志子、柴やすよ、駒木根隆介、小久保寿人、平山祐介

農林水産省肝いりの第一次産業礼賛映画〈種まく旅人〉シリーズ、岡山を舞台にした種まく旅人 夢のつぎ木に続く第四弾は、シリーズ第二作種まく旅人 くにうみの郷の直接的続編で、農水省のエリート技官である農業ガール神野恵子(栗山千明)が今度は石川県のレンコン農家を救う! それにしても「栗山千明史上最高に魅力のない千明さま」の続編、さらに予算も貧乏になって都内ではまともに公開されず豊洲まで行かないと見られない公開規模とドサ回り感もハンパない。『キル・ビル』で鉄球をふりまわしていたときには世界だって征服できそうだった千明さまだったのに、ああ、ぼくらはどこで道を間違ってしまったんだろう……と思わず遠い目になってしまうので、正直、千明さまの熱烈なファンは見ないほうがいいんじゃないかとさえ思われます。いや実際、これ誰だよ……と思うくらい顔まで変わっちゃってるんで……なんでこんなことになってしまったのか……

 

 

映画がはじまると舞台は大阪府堺市。信用金庫の行員山田良一(平岡祐太)は市役所に勤める恋人凛(大久保麻梨子)から結婚を迫られ、仕事に打ちこむことを誓い婚約指輪をプレゼントする。ところがそこで上司(木村祐一)から家族経営の鉄工所への融資ストップを命じられる。鉄工所主人の土下座を振り切って融資引き上げを決めたところで実家の母(吉野由志子)から父が脳梗塞で倒れたと連絡がある。えっ!

一方、日本農業の衰退を憂える農水省技官の神野恵子は農家の後継者不足を解消すべく、「農業女子」として女性に農業の素晴らしさをアピールしようと訴える。こんないかにもおっさんが頭の中で考えた農水省プロパガンダに従事させられる千明さま……で、千明さまが滔々と演説していると、「そんなに農業女子が好きなら、女子を全面に出してるレンコン農園があるから研修に行ってこい」と上司(永島敏行)に金沢行きを命じられてしまう。千明さま、アメリカ帰りのエリート技官という設定だったはずだが、こうやすやすと地方に飛ばされてばっかりいるというのは、実は窓際族の可能性も否めんな……というわけで市役所職員谷(駒木根隆介)とともに女性が働いているという金沢レンコンの高津農園に見学に行く。高津(平山祐介)とかつて東京のアパレルで活躍していたその妻(柴やすよ)のもとで働く三人娘にきゃっきゃしながら話を聞くんだが、困ったことに、なぜこの農園だけが女子ウケしてるのかさっぱり語られないのである。アパレル妻が「おしゃれな作業着」をデザインするくらい。そんなもんで農業女子が増えたら誰も苦労しないんだよ! だいたい十年も前に『Viva Kappe!』でやってるんだけど!

 

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