柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『たまの映像詩集 渚のバイセコー』 吉本興業の地域発信型映画が、競輪をがっつりプロモートする地域利権映画になってしまった

公式サイトより

たまの映像詩集 渚のバイセコー

監督 蔦哲一朗
脚本 河村匡哉、蔦哲一朗
撮影 青木穣
音楽 川端啓太
出演 三宅伸、江西あきよし、渚、ゆりやんレトリィバァ、水川かたまり、園都、ネゴシックス、ハロー植田、ジミー大西、鈴木もぐら

 

岡山県玉野市発! おなじみ吉本興業の地域発信型映画である。それが協賛:公益財団法人JKAということで、玉野競輪をがっつりプロモートする地域利権映画ということになってしまった。いや競輪が悪いわけではないのだが、映画を作っているほうが「地域発信映画」のお題目を信じられていないのは困る。町の盛り上げを「よそ者が勝手に来て、勝手に作ってるだけ」なんて言ったら駄目でしょ。てかそれって吉本の地域発信型映画のことじゃないか! 結果ファンタジックな「映像詩」と「玉野競輪」と「吉本芸人」がバラバラにぶつかりあって誰も喜ばない結果に……

話は三話のオムニバス形式。それぞれがゆるやかに繋がっている。一話の主人公が第三話でやっているかき氷キッチンカーに食べに行ったりするわけ。じゃあ繋がっているからといってなにか意味があるわけでもないのが残念なところである。映画を見るかぎり、監督がやりたかったのは第二話の、人間がいない美しい世界でのストップモーション・アニメらしく、吉本のコメディアンにはほとんど興味がないようであった。人間嫌いには共感できる部分もあるんだが、それならなんだって吉本の地域発信映画なんかに……

 

 

第一話 美しき競輪

 

(残り 1648文字/全文: 2286文字)

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