柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『メイド・イン・ヘブン』 木更津高校のOBたちが中心となって「木更津から世界へ!」を合言葉に製作した映画。世界に行く前に、まず足元をしっかり固めろってくらいかな……

公式サイトより

 

 

メイド・イン・ヘブン

監督 丹野雅仁
製作・原案・脚本 カマチ
撮影 木村和行
音楽 寺田テツオ、北村友佳
出演 手塚理美、国広富之、佐々木心音、冨樫真、副島淳、堤下敦、石井咲、カマチ、高橋卓郎、リチャードTH、浜崎美保、尚玄、下條アトム

 

『皆殺し映画通信』大新年会2022のお知らせ

 

千葉県木更津市発! といっても木更津高校出身の作家カマチが書いた原作を、木更津高校のOBたちが中心となって「木更津から世界へ!」を合言葉に製作した映画だという。なら『木更津キャッツアイ』でいいじゃないか! 原作脚本製作にとどまらず主人公の婿役で出演もしているカマチ、それなりのキャストを集めてしっかり映画にしてしまう行動力はすごい人かとお見受けしますが物語の方はどうにもいろいろとぼんやりとしていて詰めが甘いというか……そもそもこの話、木更津で撮らなきゃならない理由が何もないわけで、世界へ行く前にちゃんと木更津に行こうよ……

 

 

「妻に会いたい、妻に会いたい……」ぶつぶつ呟きながら原稿用紙に「妻に会いたい。妻に会いたい……」と延々と書きつづけているメンタルを病んでそうな老人。流行作家の志田漱石(国広富之)である。糟糠の妻咲子(手塚理美)を心臓の病で亡くして以来、鬱々として「……あの世で再会したい……」ばかり考えている。ところでペンネームで「漱石」ってなかなかつけられない(少なくとも編集者は絶対に「漱石」なんて名前でデビューさせないだろう)と思われるのだが、堂々と名乗ってるのもすごい。そして、映画の中で漱石が出てくるのが例の「月がとっても青いから」エピソードくらいしかないというのがさらにすごい。「漱石」への思い入れがどれほどのものなのか、さっぱりわからないのだ。

 

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