柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『映画文豪ストレイドッグスBEAST』 変な色のカツラをかぶった人が突っ立ったまんま大声で技の名前を叫んでCGがピカピカする系の映画。

公式サイトより

映画文豪ストレイドッグスBEAST

監督 坂本浩一
脚本 朝霧カフカ
撮影 百瀬修司
音楽 岩崎琢
主題歌 GRANRODEO
出演 橋本祥平、鳥越裕貴、谷口賢志、田淵累生、紺野彩夏、桑江咲菜、植田圭輔、輝馬、長江崚行、桑野晃輔、堀之内仁、広川碧、齋藤明里、村田充、岸本勇太、荒木宏文

 

2/7『皆殺し映画通信』大新年会2022のお知らせ

「異能者ひしめく混沌都市、ヨコハマ。貧民街で生きる孤児の芥川龍之介は……」というわけで、「異能者」バトルという変な色のカツラをかぶった人が突っ立ったまんま大声で技の名前を叫んでCGがピカピカする系の映画である。加えて登場人物がなぜか歴史的文豪の名前だという。出てくるのは芥川、太宰治、織田作之助……どういう基準で選ばれてるのかさっぱりわからない文豪たち。作家の名前はあれども、それぞれの必殺技は各々の事績とも小説の内容ともとりたてて関係あるように思われず、芥川龍之介の「羅生門」はCGのギザギザが空間を切り裂くみたいな技で、別に三択クイズを出されて答えられなかったら負けとかいうのでもないようだし、太宰が芥川に憧れてるとかいうそういう話も出てこない。なんか明治の文豪が超能力で戦ったらおもしろいんじゃないのー?的な思いつき程度の文学趣味といいますか。まあそんな感じの漫画があり、それがアニメ化されて、舞台にもなり、ついに映画化というわけである。なお、キャストは舞台版からの続投ということなので、いわゆる2・5次元系映画ということになろうか。ちなみに「原作者・朝霧カフカ自らの脚本によって描かれるのは、『主人公の中島敦と、その宿敵である芥川龍之介。もし、ふたりの所属する組織が逆だったら……?』という“if”のストーリーを描いた衝撃作」だそうで、いわばWhat if?的なストーリーらしいんだが、原作をまったく知らず綾辻行人や京極夏彦が出てくるのはお遊びでいいのかもしれないが澁澤龍彦とかどういうつもりで出してんだよくらいのことしか思ってないこっちにとっては別に意外性も何もないので、普通にこういうものと思って見ておりました。

 

 

「異能者ひしめく……」ヨコハマだが、ロープウェイも伸びてる2022年現在そのまんまのみなとみらい。じゃあこの変なかつらをかぶって妙ちきりんなコスプレしてる人たちはなんなのか、「やつがれ」とか変な主語使ってるのがなんなのか、どれもこれも特に意味があるわけじゃないざっくり異世界なんですかね。そんな世界で孤児として生まれた芥川龍之介(橋本祥平)は、仲間たちを殺された復讐のため銀行強盗一味を皆殺しにするが、そこで出くわした黒衣の男に叩きのめされた上「やっぱりあっちを選ぼう」と捨てられ、さらに妹銀(紺野彩夏)をさらわれてしまう。

四年半後。

 

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