柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『あしやのきゅうしょく』 天下のお金持ち市芦屋市発の食育映画。  芦屋の人々がいかに子供を大事にする意識高い人々であるかを訴える

公式サイトより

あしやのきゅうしょく

 

監督 白羽弥仁
脚本 白羽弥仁、岡本博文
撮影 吉沢和晃
音楽 妹尾武
主題歌 大塚愛
出演 松田るか、石田卓也、仁科貴、宮地真緒、藤本泉、堀内正美、桂文珍、赤井英和、秋野暢子

 

書籍版シリーズ第9弾『皆殺し映画通信 あばれ火祭り』発売

 

芦屋市政施行八〇周年記念事業! それがなんで給食映画になったのかはさっぱりわからないが、劇中で「最近の子供は舌も肥えてるし、素材もいいものを使わないと」と調理師が言い出したとき「……そりゃ芦屋の子供はな!」と全関西人の心がひとつになったのはまちがいない。日本でも有数のお屋敷町で知られる天下のお金持ち市芦屋市発の地方映画は、芦屋の人々がいかに子供を大事にする意識高い人々であるかを訴える食育映画なのであった。

どうしても気になるのは高校生×食×地域映画の映画方程式でおなじみ映画24区の「ぼくらのレシピ図鑑」シリーズとの関係である。同じ兵庫県の加古川市でも作られているくらいだし、まったく無関係とも思えなかったのだが。どうも人間・資本では直接的関係はないようで、単純に「レシピ図鑑」からヒントを得て食映画を作ろうということになったのだろうか。監督・脚本の白羽弥仁は芦屋市出身で過去に『能登の花ヨメ』や『みとりし』を監督している。

 

 

四月。給食好きで聞こえた少女野々村菜々(松田るか)は成長し栄養士となって芦屋に戻ってきた。新人栄養士として小学校の給食を担当するのだ。さっそく前任のベテラン栄養士(秋野暢子)から分厚いレシピブックをとともに「生きることは食べること」のキャッチフレーズも引き継いで責任の重さにちょっとビビり、舞い上がっていると無愛想な調理師今村達也(石田卓也)から冷水を浴びせられたり。「芦屋の給食は素材を大切に、手作りで、あたたかいものを提供する」と教えられ、責任感に身を引き締める菜々である。てかセンター給食の時代にけんちん汁を先割れスプーンで食わされていた身からすると、「サワラの焼き物」とか「鶏肉のあられ揚げ」とか見せられるだけで涙がちょちょ切れるってーの。
一方、稼ぎの悪い夫と別居して芦屋の実家に居候することになったシングルマザーの安達和(宮地真緒)の息子は四月から菜々が献立を考える給食を食べることになる。実は彼女の実家、村上豆腐店は給食に使う豆腐を小学校に納入している。そんなわけで、以下、菜々が給食にまつわるさまざまな問題に取り組みながら成長してゆく一年が描かれる。

 

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