柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『ホリックxxxHolic』 蜷川実花流の目がチカチカする画面で届ける、ムードだけで中身は何もない110分 ……と思っていたら、こんなところにプペルの手が!?

公式サイトより

ホリックxxxHolic

監督 蜷川実花
原作 CLAMP
脚本 吉田恵里香
撮影 相馬大輔
音楽 渋谷慶一郎
主題歌 SEKAI NO OWARI
出演 神木隆之介、柴咲コウ、松村北斗、玉城ティナ、趣里、DAOKO、モトーラ世理奈、西野七瀬、大原櫻子、てんちむ、橋本愛、磯村勇斗、吉岡里帆

文化庁文化芸術振興基金補助金

原作CLAMP、監督蜷川実花、主演柴咲コウ……というわけでおなじみCLAMPの手も足も首も長いヒロインがムーディなセリフを言うのを蜷川実花流の目がチカチカする画面で届ける映画なのね……と思っていたらびっくりしたのが製作:西野亮廣の文字である。まさかこんなところにプペルの手が!? ひょっとしてこの映画にもプペル・マネーが入ってるとか? 恐るべきプペルの支配である。

見る前は中身よりもムードなCLAMPのコミックと、カラフルな画面に花と蝶を飛ばすばかりの蜷川スタイルとは相性良さそうだと思っていたのだが、ムードにスタイルをかけても中身はゼロのままなのである。そういうわけで、実にもってムードだけで中身は何もない110分。一応あらすじ説明はするものの、そこはほぼ無意味だという点を最初にお断りしておきます。じゃあどこに意味があるかというと、いや、特には……

 

 

アヤカシ(なんだかよくわからない黒いモヤモヤ)が見える高校生四月一日君尋(ワタヌキ・キミヒロ/神木隆之介)は、ある日、ひらひらと舞う黒い蝶に誘われるようにして謎の扉をくぐる。そこには華やかな衣装(スタイリング・ディレクター:長瀬哲朗)を身にまとった美女侑子(柴崎コウ)がいる「ミセ」。

「ここはあなたの願いを叶える場所。願いの対価としてあなたは自分の一番大切なものを差し出さなければならない」

 と告げるのだった。

これ、物語上では侑子は狂言回しのような立場らしく、願いを抱いてこの謎の館にやってきた男女にこの台詞を言い、その運命を見守るだけで、積極的にストーリーに関与するわけではない(四月一日は侑子のハウスボーイとなってこき使われる)。映画の中では嘘ばっかりついてる見栄っ張りの娘(趣里)のエピソードがあるくらい(彼女のドラマはほぼ渋谷スクランブル交差点で起きるのだが、足利スクランブル交差点セットで事件が完結するといかにも安い感じがしてしまうね)。基本的に能動的ではないキャラクターなので、ほぼセットに横たわりセリフを言うだけのお仕事。衣装が重たすぎて動けないというわけでもなかろうが、完全に花が舞い散るセットの一部に溶け込んでしまっている。しょうがないからクローズアップでセリフを語るのだが、そうなると今度は厚化粧が……蜷川実花の映画ではすべての俳優は彼女の絵画の一要素でしかないため、どうしても厚化粧は避けがたい。だがそうすると今度は年齢のほうが気になってくるというね。柴咲コウ、こんな役で無理やり十歳以上も若作りするより、中身相応にナチュラルメイクでスールキートス的森ガールをやるほうがいいと思うのだが……

 

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