柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『ALIVEHOON アライブフーン』 ひたすらドリフト勝負! 娯楽映画かくあるべし。恋も師弟関係もライバル勝負もすべてレース場面だけで見せてしまうので、楽しく見れてしまった

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ALIVEHOON アライブフーン

監督・編集 下山天
脚本 作道雄、高明
企画原案 影山龍司
プロデューサー 瀬木直貴、沢井正樹
撮影監督 清川耕史
音楽 吉川清之
主題歌 NOISEMAKER
ドリフト指導 久保川澄花
出演 野村周平、吉川愛、青柳翔、福山翔大、本田博太郎、モロ師岡、土屋アンナ、土屋圭市、陣内孝則、にわつとむ、齋藤太吾、川畑真人

 

聞き慣れないタイトルだが、hoonとはオーストラリア英語の俗語で危険運転のこと、そこから転じて走り屋をhoonと呼ぶのだという。走り屋として生きている、それがアライブフーンだ! 物語の主人公は福島に住むグランツーリスモSPORTの日本チャンピオン、オオバコウイチが、ドリフトチームALIVEのドライバーとしてスカウトされ、才能を開花させる……って『ラスト・スターファイター』かよ!と思わず突っ込んでしまったが、実際eスポーツで名を挙げてサーキット・レーサーにのし上がるというのもない話ではないらしい。でもそれにしたってもともとレーサー志望でも金やコネがなくて本物のレーシングカーに乗る機会がない人間が、eスポーツきっかけで乗るようになるみたいな話で、この映画みたいに引きこもりのコミュ障のゲーヲタがいきなりレーシングカーに乗るわけじゃああるまい……とは思うのだが、そこんところの大嘘さえ許してしまえば、あとは意外とすっきりソリッドな映画で、ひたすらドリフト勝負(スタントドライバーがギリギリの妙技を披露する)と、それを固唾を呑んで見守るチームメンバーの表情、「すごい角度だ!」「攻めてきた!」のわかりやすい実況、「いやー彼はすごいよ」「汚えな!」としっかり説明してくれるドリキン土屋圭市(特別出演)の痒いところに手が届く解説だけで見せる。恋も師弟関係もライバル勝負もすべてレース場面だけで見せてしまうので、ダレることなく楽しく見れてしまった。まさか下山天の映画でこんな楽しい気分にさせられるなんて!

 

 

さて、映画の冒頭、ドリフトフェスティバル決勝戦、絶対王者小林総一郎(青柳翔)と百戦錬磨のベテラン武藤亮介(陣内孝則)の戦いの中で、武藤はスピンを起こして負傷、車も破損してしまう。一方、福島のスクラップ工場に住み込みで働くコミュ障のゲームオタク大羽コウイチ(野村周平)は、今日もグランツーリスモのシミュレーターで遊んでいるが、社内では「真面目に仕事しろ」とイジメられている。そんなある日、社長(モロ師岡)の知り合いだというナツミ(吉川愛)がズカズカと寝床に入ってくると、

「まさか同じ町内に日本チャンピオンがいるなんて! うちのチームに入ってちょうだい。とりあえずテストから!」

 

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