柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『プラチナデータ』 まさかのオチの「ぷらちな・でーたっ(ウィスパー)」 -柳下毅一郎

『プラチナデータ』

監督 大友啓史
脚本 浜田秀哉
撮影 佐光朗
音楽 濱野弘之
出演 二宮和也、豊川悦司、鈴木保奈美、生瀬勝久、杏、水原希子

 

まずはこの予告を見て欲しい。

 

 


見るたびにニノがドヤ顔で「ぷらちな・でーたっ」ってウィスパーするところで笑ってしまうのだが、問題はそういうことではなく、この予告を見ると

1)DNAで検挙率100%、冤罪率0%
2)全国民からDNAを採取するDNA法の反対者が次々殺される事件が発生
3)犯人のDNAは……ニノだった!
4)ニノ、「オレじゃない!」と逃げる
5)トヨエツ、ニノが二重人格者であることを突き止める

ここまでネタバレちゃっていいの? てかまさかこれでオチじゃないよな? いくらなんでもこの先あるよね? 原作東野圭悟だし! ベストセラー作家だし(読んだことないけど)!

さて、警察庁の「特殊解析研究所」に所属する天才科学者神楽龍平(ニノ)は「DNAプロファイリング」という画期的技術を開発した。犯行現場で発見された髪の毛から抽出したDNAで、その持ち主の年齢性別血液型髪の毛骨格体重性格足の中指が長いことまでわかってしまうのだ(DNAモンタージュ)!

犯人は「この人物から三親等以内の血族です!」かくして連続幼女暴行事件の犯人もただちに逮捕。DNAプロファイリングすげえ! これからはDNA法を作って全国民のDNAデータを集める。その暁には事件が起きればすぐ犯人がわかるようになる。全国民のDNA情報、それが、ぷらちな・でーたっ(ウィスパー)

三ヶ月後、DNA法に反対する人物ばかりが殺され、肋骨が一本引き抜かれるという連続猟奇殺人事件が発生していた。DNAプロファイリングにかけても犯人は出てこない。現在のDNAデータベースに含まれていないので答えが出ないのだ。データが見つからないのでNot Found=NF この事件の犯人はNF13と名づけられた。最新の事件は新世紀大学病院で発生した。入院中の自閉症患者の天才数学者、蓼科早樹(水原希子)とその兄が殺されたのだ。

余談だが、この映画、何かというと横文字の字幕や略号が出る(「特殊解析研究所」はSARI)のだが、新世紀大学病院がShin-seiki University Hospital 略してSUHというのは超絶はかりしれないくらいダサいので、CI考え直してください!

早樹は天才プログラマーとしてDNAプロファイリングを開発した最大の貢献者であった。そんな相手の死にも「大事なツールでしたからね」とそっけない天才ニノ。

「ツールって言ったから冷たい? 人間もコンピュータも同じだよ。コンピュータが初期プログラムですべてが決まるように、人間もDNAで決まる。DNAはその人間のすべてだ!」

で、現場で発見されたDNAを検査すると、犯人は……ニノ!

「ぼくはやってない……!」

でニノは逃げるわけですが、なんでいきなりデータを消して逃げようとするのか。やってないのが本当で、自分の作ったシステムを信用してるなら「やあ百パーセント確実と思ってたけどまちがいあったみたいすサーセン」ってシステム改良に使えばいいだけのことじゃないか。それとも一度逮捕されたら拷問で自白強要されて調書を作られてしまうとでも思っているのか。ニノも警察組織の一員だと思うんだが、全然組織を信用してない。そもそもこの時点で前の事件の犯人NF13とは別人だとわかっているんだし、その部分を追究していけばいいと思うんだが。

研究所所長(生瀬勝久)は

「DNAプロファイリングの発明者がこんな事件を起こしたらヤバい。この件はおおやけにできない」

と事件をもみ消そうとする(どうして日本映画の警察ってみんなこうなんだろうかね)。実はそのための秘密兵器がある。研究所の地下には、日本中の監視カメラ映像にアクセスして、画像検索によって人物を特定する巨大監視システムがあったのだ! この存在はニノも知らない。『ダークナイト』でバットマンが使おうとしてモーガン・フリーマンに怒られていた奴である。すかさず検索をかけるとニノがヒット! どこへ逃げようともすぐに警察が飛んでくる。

必死に逃げるニノに謎の相手から助けの手が伸びる。携帯で指示し、安全な場所へ誘導。

「おまえは誰なんだ!」

と絶叫するニノだが、その声はニノのアシスタントだった白鳥里沙(杏)だよ! オレがわかるのに、なんでおまえがわからないんだ!

(残り 1785文字/全文: 3590文字)

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