「ノンフィクションの筆圧」安田浩一ウェブマガジン

【速報・いよいよ新展開か?】「賃金も2年払われていません。助けて下さい」 日本人に食い物にされる外国人従業員<後篇>

前篇よりつづく>

「6月20日、全員解雇します」

 68日、社長から一枚の通告書が店舗に郵送される。

あなたがたは、売上金を会社に引き渡さず、勝手に仕入れをし、店舗を運営しています。また、賃貸の店舗に寝泊まりしたり、会社関係の業務を妨害する等、不法行為にあたりますので、以下の通り通告します。

1、仕入れ行為をせず、直ちに店舗の営業を停止しなさい。

2、これまで約1カ月分の売り上げを直ちに会社に引き渡しなさい。

3、2016617日までに、店舗から退去しなさい。

 あなた方が以上の通告に従わない場合は、民事・刑事の責任が発生する可能性があることを通告します。

 その後さらに、620日付けの全員解雇も予告してきたのだ。

 ちなみに従業員が店舗に「寝泊まり」しているのは、前述したマンションの一室が、ボヤによって使用できなくなったためである。従業員不在時のボヤのために原因は不明だが、これによって住む部屋を失った彼らは、店舗に泊まり込んでいるのだ。

 このまま強制的に店舗閉鎖となった場合、従業員たちは仕事だけでなく、生活の場も奪われてしまう。文字通り「路頭に迷う」こととなるのだ。

社長から従業員に送られた通告書

「家族に仕送りもできない。自分の将来も見えてこない」

 ジョシさんは泣きそうな顔で訴えた。

 なお、ネットで注目を集めた貼り紙やツイッターへの投稿は、常連客や地域のボランティアなどが、窮状を見かねて協力してくれたのだという。

 さて、ここまでが従業員を代表してジョシさんが語ってくれたことである。

 当然、社長に事実確認をしたうえで真意を聞かねばなるまい。

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