「ノンフィクションの筆圧」安田浩一ウェブマガジン

沖縄に関する「デマ」の真相 1〜沖縄振興予算

政府による選挙の“報復”

「まるで沖縄に対する恫喝じゃないか」
 沖縄地元紙の記者が憤る。
 鶴保庸介沖縄及び北方対策担当大臣の就任会見(8月4日)のことだ。
 鶴保氏は米軍普天間飛行場の移設が進まないことに関連し、「沖縄の振興策と基地問題は確実にリンクしている」としたうえで、沖縄振興予算の減額を示唆した。
 まるで予算は基地建設工事の進捗具合による「出来高払い」であるかのような物言いだ。露骨な「アメとムチ」である。
 さらに次のようにも述べている。
「予算額を減らすのは当然。消化できないものを無理やりお口開けて食べてくださいよでは、全国民の血税で使われているお金を無駄遣いしているという批判に耐えられない」
 政府がメシを食わせてやってる、という意識なのだろう。
 鶴保氏だけではない。
 同日、菅義偉官房長官も会見で「工事が進まなければ予算も少なくなるのは当然のことだ」と発言。
 さらに稲田朋美防衛相も「官房長官が述べられた通りだ」と同調した。
 そもそも振興策と基地問題が「確実にリンクしている」などと、いつ、誰が決めたのか。
 政府はこれまで一貫して「沖縄振興と基地問題はリンクしない」という見解を示してきたはずだ。ここにきて急に政策を変えたとでもいうのか。
「先の参院選の影響もある」
 そう漏らすのは前述の地元紙記者だ。
 「島尻安伊子前沖縄担当相が落選したことで、沖縄選挙区選出の国会議員のなかに、辺野古移設を主張する者は一人もいなくなった」
 そうしたこともあり、自民党の中では『沖縄に予算を付ける義理はない』といった声も出ているという。
 なんとも子どもじみた発想の報復だ。

 ところで沖縄振興予算とは何なのか。
 実は相当にデマや誤解が広まっている。
「基地の見返りに沖縄が膨大な予算を得ている」「沖縄だけに認められた優遇策、特権」──ネットで流布される情報に踊らされ、そのように考えている人はけっして少なくない。
 結論から述べる。沖縄振興予算は基地を置くことの「見返り」ではないし、また、沖縄だけに認められた「優遇策」でもない。
 どこの県であっても、国から予算をもらっていることには変わりはない。沖縄の場合、さらに「振興予算」という上乗せがあるかのようにも伝えられることが少なくないが、これは全くのデタラメだ。

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