「ノンフィクションの筆圧」安田浩一ウェブマガジン

小池百合子と沖縄 知られざる沖縄蔑視発言と沖縄メディアへの偏見   

TOKYO HATE CITY

 東京都議選は自民党の大敗と引き換えに、「都民ファーストの会」(以下、「都民」)圧勝という結果をもたらした。これを踏まえ「都民」の国政進出がうわさされている。民進党と日本維新の会を除名された長島昭久衆院議員と渡辺喜美参院議員は都議選では、それぞれ「都民」の応援に入った。国会議員を5人確保することができれば、政党助成金を得ることが可能だ。今後、間違いなく国政進出の動きは活発化していくだろう。
 一部には自民党をカウンターパートとした二大政党化、あるいは”第三極”を期待する向きもあるようだが、果たしてそれは可能だろうか。日本国憲法を破棄し、大日本帝国憲法の復活を請願した代表者を持つ「都民」に、いまのところ自民党との差異を見ることはできない。
 たとえば沖縄の米軍基地問題も然り。
 「都民」の選挙戦を率いた小池百合子東京都知事は、防衛相時代に普天間飛行場の辺野古移設推進の姿勢を鮮明にした。
 一昨年6月、作家の百田尚樹氏が自民党の学習会で「沖縄の新聞はつぶさないといけない」と発言した際、沖縄では小池氏の過去の発言があらためて話題となっていた。
「沖縄のメディアが言ってることが県民すべてを代表しているわけではない」
 12年12月、自民党国防部会でこう発言したのは同党議員だった小池氏だったのだ。
 また、沖縄相時代の06年7月には那覇市内の講演で基地問題を念頭に「沖縄のマスコミとアラブのマスコミは似ている。反米、反イスラエルでそれ以外は出てこない」と発言。13年には党内の部会で「沖縄の先生方が闘っているのは、沖縄のメディア。沖縄のメディアが言っていることが、県民を全て代表しているとは思わない」とも批判した。
 メディア批判など一向にかまわないが、これらの発言に通底するのは沖縄と、そこを拠点として中央政府に対峙する沖縄メディアへの偏見である。
 ”百田発言”の直後、『琉球新報』編集幹部のひとりは、私の取材に対して次のように話した。
「結局、いつだってそうなんです。沖縄で何か問題が発生し、それが政府の思惑通りに進まないと、必ずと言ってよいほど同じような言説が流布される。つまり、自らの危機感を沖縄の新聞批判にすり替えることで、問題を矮小化するという手だてです。いや、本当に、いつものことですよ」
 小池氏の知られざる発言に関しては、先日の『NO HATE TV 第19回「TOKYO HATE CITY – 都民ファーストの正体」』でも紹介した。思わぬ反響があったので、本欄でも記しておきたい。

 現在、「沖縄タイムス」の地方支社で記者として働くA君は、同社に入社して今年で3年目だ。
「絶対に沖縄で新聞記者になりたかった」
 飲み屋でそう私に力説した。
 記者になることを強く望むようになったきっかけがある。

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