「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

先発2試合目となる大津祐樹は「団結して一つの方向に進んでいる。強い相手に対してどこまでできるか楽しみ」と目を輝かせた [J6節 川崎戦プレビュー] <無料>

 

今後に向けた試金石となる一戦だ。

ここまで消化したリーグ戦5試合とカップ戦3試合で、マリノスがスタイルを大きく変えたことは周囲に知らしめることができた。変化を端的に表現するならば、ボールを持たされるチームから持つチームに変わったということ。昨季までのチームはあくまで『ポゼッション風』で、主体性はあまり見られなかった。

それが今季はどうだろう。自陣でボールを動かすのはゴールを狙うための方法論で、相手を揺さぶり、はがすという意図がある。高い位置から食いついてきた相手をかわせば、ミドルゾーンにスペースが生まれる。そこにディフェンスラインからボールが入った瞬間、攻撃はスピードアップする。

清水エスパルス戦の決勝ゴールが良い例だろう。ハイライトにすると扇原貴宏の正確なフィード→山中亮輔のファーストタッチ&クロス→ゴール前で決定力を発揮するウーゴ・ヴィエイラ、である。ただし扇原にボールが入る以前に自陣でボールを動かし、相手のプレッシャーを攻略した点を見逃してはいけない。

紙一重のポゼッションかもしれない。そこでボールを奪われれば決定的なピンチを招くことになる。手堅さを求めるなら違う戦法になる。それでもアンジェ・ポステコグルー監督は「リスクと感じていない」わけだから、これからもボールを持ち、動かし、攻めていく。対戦相手の強さや性質は関係ないという。

現時点での精度、完成度がどれほどのもので、川崎フロンターレ相手に何をできるか。ボールポゼッションにおいてリーグ屈指の力を持つ昨季チャンピオンは、これ以上ないものさしとなる。臆することなくボールを動かせば、それなりにチャンスを作れるのではないか。あとはエリア内でウーゴ・ヴィエイラが仕留めるか、あるいは大津祐樹やオリヴィエ・ブマル、ユン・イルロクが違いを出せるか。

それよりも問題は相手のオフェンス力に対する守備だ。これまでの相手とは技術や精度が一枚も二枚も上。闇雲にプレッシャーをかけても、いなされてしまい、ピンチになる。かといってハイプレッシャーとハイラインはチームの約束事で、試合開始時から腰の引けたサッカーをする考えなど毛頭ない。

最後尾から攻撃を組み立てるGK飯倉大樹は「ボールを持たれる時間もあるだろうし、ボールを持てる時間もあるだろう。どちらがクオリティ高くプレーできるかの勝負になる」とにらむ。クオリティが高ければ高いほど、凡ミスが致命傷になる。そういったプレッシャーの中でプレーすることは今後への血肉にもなるだろう。

先発2試合目となる大津祐樹は「オレらは何も残していないし、すごいチームではない」と謙虚に言った。だが、その後は語気を強めて「そのかわり団結して一つの方向に進んでいる。それに対しての自信はある。強い相手に対してどこまでできるか楽しみ」と目を輝かせていた。

正々堂々、正面からぶつかって勝ち点3を目指すのみ。昨年までとは趣の異なるフロンターレ戦になりそうだ。

 

tags: 大津祐樹

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ