「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

マンオブザマッチを選ぶとしたらシュート数の6本を放った仲川輝人。「今はゴールの軌道が見えている」と有言実行の得点 [Lカッププレーオフ第1戦 神戸戦レビュー](無料)

放ったシュートは実に26本。試合後、アンジェ・ポステコグルー監督が「4得点できたが、もしかしたらあと4点入ったかもしれない」とぶち上げたのは、決して大げさな話ではない。決定機すべてを決めていれば8点以上入っただろう。でも実際に決定機をすべて決めるのは難しいので、4ゴール入れば十分に合格点を与えられる。

 最も多くのシュートを打ったのは、7本の天野純。最近の天野はサイドに流れ過ぎることなく、ペナルティエリアの横幅を意識しながらゴールに直結するプレーを心掛けている。「ゴール前に入っていく動きは意識していた」と天野。得意の左足シュートは枠を捉え切れなかったが、決勝点となったゴールは右足だからこその落ち着きがあり、良い意味で力が抜けていた。セットプレーではなく流れの中から点を取ったことにも意味がある。

マンオブザマッチを選ぶとしたら、天野に次ぐシュート数の6本を放った仲川輝人だろう。チーム2点目となった自身のゴールは、大津祐樹のポストプレーが乱れたところが起点。相手のパスミスを奪った仲川は独力で相手ゴール前に侵入し、フォローした山田康太の存在に気づきつつも自分で決めに行った。「ゴールを決められそうなイメージはあるし、今はゴールの軌道が見えている」。有言実行の得点である。前記した天野のゴールをアシストしたシーンにも、自信と余裕が感じられた。すっかり攻撃に欠かせない選手となった。

 9番の位置でプレーした大津にも触れておきたい。相手ゴール前で待ち構えるウーゴ・ヴィエイラとは違い、サイドに流れるケースも多い。必ずしも指揮官の求めるプレースタイルとは言えないが、大津の動きが天野や仲川をゴールに向かわせていることも事実。潤滑油としての価値は高く、それでいてこの試合のようにゴールも決めてくれるのならば、トップの一番手が背番号9になっても不思議はない。

それを許すまいと30分足らずの出場時間でシュート4本を集め、しっかり得点を記録したウーゴ・ヴィエイラも存在感を発揮。相手のバックパスをかっさらい、さらにDF二人を華麗に抜き去ってのゴールはワンタッチゴーラー“らしくない”。ポストとDFに当たって入ったシュートはオウンゴールに見えたが、ストライカーの意地がそうはさせず。個人とってもチームにとっても、大きな意味を持つダメ押し点となった。

力差をしっかりと見せつけた勝利ではあるが、この試合で何かが決まるわけではない。言うまでもなく第2戦が後半戦で、セットプレーから喫した2失点が影を落とす可能性もある。これに関しては個人の責任というよりもチーム全体の意識と集中力の問題で、単純にヴィッセル神戸がセットプレーで強いという見方もできる。選手たちは口々に反省の弁を述べているのだから、これ以上何かを言う必要はない。

セカンドレグは先制点さえ取れればマリノスのゲームになる。ノックアウトステージに大きく近づくファーストレグは、横浜開港記念日を一足早い祝う花火大会となった。

 

 

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