【サッカー人気4位】【ドイツ便り】サンフレッチェ広島新監督…

「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

[試合直前プレビュー ナビスコ・大宮戦] 大幅なメンバー入れ替え-藤田・ファビオ・熊谷・端戸先発 (藤井雅彦) + 熊谷・藤田・樋口監督インタビュー[3,950文字]

 

 

 

6連勝すれば、次は7連勝したくなる。負けず嫌いなアスリートならば当然のことだろう。一方で「勝ちたい」という渇望よりも「負けたくない」という保守的な発想になったとしても不思議ではない。マリノスは開幕から公式戦6連勝の無敗ロードを突き進み、3月に行われた公式戦でなんと全勝を収めた。何度も述べてきたことだが、昨シーズンは開幕からリーグ戦7試合、公式戦では10試合未勝利のチームなのだ。それが早くも白星を6つ獲得した。「この時期で(リーグ戦で)12ポイント取っているのは、あとあとのことを考えるとすごく大きい」と小林祐三はあらためて価値の大きさを語っている。

勝ちたいよりも負けたくないが大きくなったとき、監督はどういったアクションを起こすのか。『勝っているチームは動かすな』は勝負の定石であり鉄則なのだが、勝っているから動きにくいという心理とも言える。選手を固定することでパフォーマンスは安定するかもしれない。ただし控え組との格差は大きくなり、主力選手が欠けたときの戦力ダウンが大きくなってしまう。でも勝つためには大きく変えないほうが確率は高くなる。堂々巡りのような理屈ではあるが、難しい問題だ。昨シーズンのようになかなか勝てない時期は当然、悩み苦しむものだが、いまのように勝ち続けていても悩みは消えない。

直近のリーグ戦は博打的な要素の強い采配ながら、選手たちが持っている力以上のものを発揮して激しい点の取り合いを制した。モチベーションを下げた選手も少なからずいた采配の是非とともに、次の一戦をより難しいものへと変わった。リーグ戦とは異なるカップ戦という形式がより難解なものにしているとも言えるかもしれない。一度バランスを乱したチームを元通りにするには膨大なエネルギーが必要だ。一歩間違えば歯車がどんどん狂っていく。それが負の連鎖だ。

樋口監督は明日に迫った大宮アルディージャ戦でいくつかのメンバー変更を示唆している。予想スタメンは前日に行われた紅白戦の主力組11人なのだが、もしこのまま試合に臨むとすれば直近のリーグ戦から5選手を入れ替えたことになる。2試合の出場停止明けとなるマルキーニョスは週末のリーグ戦までの試合間隔が中2日であることなど関係なくピッチに立つべきだろう。システムや戦術にかかわらず、ここで爆発して開幕からの勢いを取り戻してほしい。

ただ、それ以外の起用選手については判断が難しいところもある。この試合、CBは中澤佑二がベンチ外となり、ファビオと栗原勇蔵が初めてコンビを組む。ファビオの能力についてはナビスコカップ第1節・川崎フロンターレ戦と第2節・ヴァンフォーレ甲府戦で実証されている。何の不安もないと断言できる。栗原とコンビを組ませることで中澤にアクシデントが起きた際の備えにもなる。中澤はわずかながら負傷もあるため、ここで外からチームを眺めるのは悪いことではない。

一つだけ懸念しなければいけないのは中澤は連戦でも試合に出続けることで緊張感を保つタイプということ。100%の全力プレーが身上の彼は常に危機感や不安といった精神状態で戦っている。いかなる理由があったとしても欠場することで良い精神状態を保てなくなる。指揮官の決定は理に適っているのだから、中澤を欠場させるならばしっかりとした説明が欠かせない。それを欠いてしまえば中澤の集中の糸が切れることにもつながりかねない。

同じディフェンスラインで右SBは天野貴史から小林祐三へ“戻る”。それだけではない。天野はベンチからも外れる。先日のFC東京戦に万全の状態で出場するために甲府戦でスタメンから外れた小林だが、蓋を開けてみればポジションを奪われる格好となった。「万全の状態ではない」という指揮官の判断だったわけだが、FC東京戦から数日後の大宮戦には先発で起用するという。この数日間で劇的に患部が回復したのだろうか。FC東京戦で小林、この大宮戦で天野にチャンスを与えるほうが自然な流れに見えるのは筆者だけではないだろう。

同じことは2列目の人選にも当てはまる。FC東京戦で突如として先発起用された佐藤優平ではなく端戸仁の起用が濃厚となっている。佐藤がJ1相手に能力を発揮できる確信があるならば、ここでも使い続けなければいけない。前半45分のみで交代した佐藤が肩を落としているのは容易に想像がつくだろう。過去にこういった起用法で自信を失った選手は一人や二人ではない。

その上で端戸も本来のポジションであるトップ下で起用すればよかった話である。システムを1トップから2トップに変更するメリットは少ない。攻撃的に出る際に藤田祥史を投入して2トップに変更すれば相手に圧力をかけられる。それは開幕戦の湘南ベルマーレ戦で実証され、オプションとして考えられることが分かった。だが、それはあくまで状況によるものであって、スタートから採用して同じようにいく確率は低い。中村俊輔のベンチスタートがその最大の要因なのだが、それと同時にシステムを変更することで守備が機能しなくなる危険性もはらんでいる。守備が機能しない場合、マリノスは途端に強みを失うかもしれない。ここまで点を取れているのは一過性の勢いにすぎないのだ。2得点したからといって藤田を起用し続けなければいけない理由などない。マルキーニョスと1トップの席を争うことで互いが切磋琢磨し、チーム力アップにつながれば藤田効果と言えるではないか。

ナビスコカップという観点では、この大宮戦に勝利すれば勝ち点を『9』まで伸ばすことができる。他チームの動向次第ではあるが、決勝トーナメント進出に大きく前進することは間違いない。それが脳裏にある樋口監督は「勝ち点3にこだわっている」と言い切る。しかし現実の采配は主力の、しかもセンターラインをごっそり入れ替えているのだ。チーム力を維持できず初めて土がついてもおかしくない。そして、その敗北をどう受け止めるか。チャレンジのために必要な90分間だったと樋口監督が割り切れるか、だ。それができない思想の持ち主であることは、念のためベンチに中村を入れていることが動かぬ証拠と言えるだろう。

 

[追記] そのような中で最大の楽しみは、特別指定選手の長澤和輝がベンチ入りしたこと。キャンプ時に発揮したパフォーマンスは対戦相手のJ2を圧倒し、チームメイトを納得させるのに十分なインパクトがあった。それが公式戦のピッチで見られるのは純粋に楽しみだ。チームが抱えるいくつかの不安を吹き飛ばす活躍を彼に期待したい。

 

【players voice MF 14 熊谷 アンドリュー】

――先発のチャンスが訪れそうだが

「ようやくという感じ。あまり公式戦に出ていないので試合勘というか、その雰囲気を体感できる実感がないというか」

――チームは開幕から公式戦6連勝と勢いに乗っている

「次負けたら、自分が出て負けたという感じに自分的にはなってしまう。チームの勢いに自分も乗っかれたらいいと思う」

――富澤と中町のダブルボランチをどう見ていた?

「守備のところでボールを奪う回数がすごく多いと感じていた。攻撃面でも二人が起点になっていた。そういうところは自分も見習っていかないといけない」

――中町とのコンビはどんな役割になる?

「マチくん(中町)は攻撃的な感じになると思うし、それは監督からも言われた。自分はCBの間に入ってビルドアップに加わりたい。あとは相手のボランチに仕事をさせないためにしっかりプレッシャーをかけないといけない。このチャンスを生かしたい」

 

【試合に向けて】
樋口 靖洋 監督

「休ませるというか痛みがある選手を外している感じ。概ねコンディションは問題なく、けがのところだけ。(中村)俊輔やボンバー(中澤)は痛みもあるので無理をさせる必要はない。2トップは一つのトライ。やってみようかなと。ここまで6試合終わった中でさまざまな問題が出てきた。いい他ミングでこのナビスコカップを迎えられると思っている。勝ち点3が絶対に必要。リーグ突破に大きく前進する。勝ち点3にこだわっている試合。
大宮となら同じ[4-4-2]でマッチアップしてもそんなに難しくないと思う。大宮はナビスコの1戦目、2戦目に近いメンバーじゃないかと思う。2トップの外国籍選手を外して、ボランチを1枚替えて、CBやSBも替えるかもしれない。でもメンバーが多少変わってもバランスはいい。特に守備時のバランスがいいチームだと思う。
(長澤について)ほかの選手との兼ね合いもあるけど、一つの競争の枠の中に入る。しなやかですごくうまい。ボールタッチも体の使い方も、あとは頭の中も柔軟性がある。かといって当たりに弱いわけではない。当たってもその衝撃を吸収して出ていける。だからスピードに乗った状態でボールコントロールもブレない。キャンプのときにトレーニングマッチをやっておいて、彼のためにもチームのためにも良かった。周りの選手も彼の特徴をつかんでいるし、彼もチームのコンセプトが分かっている」

FW 19 藤田 祥史

「この前のリーグ戦で2点取ったけど90分全体で見たら、まだまだだった。前半はなかなかボールが収まらなくて起点を作れなかった。でも結果で評価する人が多いと思う。自分がスタメンで出た最初の試合で2点取れたことで周りからの信頼も得られるし、自分自身もラクにプレーできる。次は古巣の大宮戦なのでまずは試合に出たい。大宮にいたときはJ2とJ1の違いを感じた。大宮ではあまり結果を出せなかったので成長した姿を見せたい。スタメンでも途中からでも結果を出したいと思う」

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ