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「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「もう誰かの穴埋めはしたくない。主力みたいに思われているけど、リーグ戦は4試合。今年が終われば契約満了。それならばマリノスに移籍金を残したい」 [金井貢史の完全移籍について]

 

 

25日、マリノスはDF金井貢史(28)がJ1・名古屋グランパスに完全移籍することを発表した。金井は育成組織出身で2008年にトップチーム昇格。2013年にサガン鳥栖へ完全移籍し、2015年にはジェフユナイテッド市原・千葉の一員としてプレー。そして2016年から再びマリノスに帰ってきた。金井は今日の練習には姿を現さず、同日のうちに名古屋へ発つ。

今季はここまでリーグ戦6試合に出場し、2得点を挙げていた。本職のサイドバックでは定位置を奪えなかったが、ポリバレントな能力を生かしてセンターバックで存在感を発揮。ミロシュ・デゲネク不在時にチームの支えとなり、得点力の高さでもチームに貢献していた。

名古屋が金井に興味を示し始めたのは2ヵ月以上前のこと。マリノスとの複数年契約を今シーズン終了時まで残しているため、獲得するためには移籍違約金が必要となる。だが中断期間中のメンバー大幅刷新を推し進める名古屋にとって、それは大きなハードルとはならなかった。

一方、マリノス側は放出を固辞。両サイドバックだけでなくセンターバックでもプレー可能な金井を必要戦力と判断していた。当時は移籍前のミロシュ・デゲネクがオーストラリア代表に招集されていたこともあり、中澤佑二と最終ライン中央でコンビを結成。状況にアジャストする器用さと危機察知能力の高さで、欠かせない選手となっていく。

 

 

 

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7月に入り、6日にデゲネクがレッドスター・ベオグラードへ完全移籍。それとタイミングを前後するようにセンターバックの補強を画策し、7月19日にドゥシャン・ツェティノヴィッチの加入を発表した。金井を取り巻く状況は刻一刻と変化していくが、名古屋は獲得への姿勢を弱めることなく、粘り強く交渉を続けていった。

保有権を持つマリノスは、アイザック・ドルスポーティングダイレクターがエージェントを介しながら金井との意思確認や交渉を複数回行った。前述したように必要戦力と認めながらも、新戦力センターバックを獲得した際の判断基準は曖昧だったという。そして今季限りで契約が切れる金井に対して、最後まで延長のオファーはなかった。

対して名古屋は獲得に際して年俸以上の移籍金を提示した。金井の心中には「今年が終われば契約満了ということ。それならばマリノスに移籍金を残したい」という思いが芽生え始める。「自分には家族がいて、3人の子どももいる。パパが試合に出ていないとサッカー選手である姿を見せられない」。人生設計を鑑みた上での一大決心に気持ちが傾いていく。

 

 

 

金井は、冒頭でも述べたように一度他クラブへ移籍したことのある出戻り選手だ。それなりの覚悟を持って帰還したのは想像に難くない。加えて、中断期間明けは天皇杯3回戦・横浜FC戦を皮切りにリーグ戦2試合にも先発出場。栗原勇蔵がベンチに控えながらもセンターバックとして起用されてきた、いわば現時点でのレギュラーである。だから今回の決断を不思議に思うサポーターがいるかもしれない。

リーグ戦の中断期間中、金井はこんな言葉で自身の立ち位置について言及していた。

「主力みたいに思われているけど、まだリーグ戦は4試合しか出ていない。サイドバックで出場したのは1試合だけで、あとの3試合は本職ではない位置。ミロシュがいないルヴァンカップや天皇杯で出場していただけで、自分はレギュラーでもなんでもない」

 絶対的な立場になれなかったことを誰よりも理解している。小林祐三が2016年いっぱいで去った後、松原健とのポジション争いで後塵を拝した。山中亮輔や下平匠と左サイドで争うのも難しい。かといってセンターバックでポジションを確立したわけでもない。“ユーティリティープレーヤー”という形容は、本人にとって褒め言葉とは限らない。

宙ぶらりんな自分自身にサヨナラだ。「もう誰かの穴埋めはしたくない」と決意を語り、新天地での活躍を誓う。

 

 

 

 

 


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