中学1年生でジュニアユースの一員になった日から、いつしかマリノスはなくてはならないものになっていた [今、栗原勇蔵に聞く 第3回]
インタビュー実施日:9月7日(金)
文:藤井雅彦
協力:横浜F・マリノス広報室
→前回からつづく
35歳になり、プロサッカー選手としてのキャリアは晩年に差しかかっているのかもしれない。近年、出場機会が減っているのも事実。2014年までは押しも押されもせぬレギュラーとしてピッチに立っていたが、2015年は11試合、2016年は12試合、2017年は8試合と不本意な時間が続いている。今季もここまでわずか3試合の出場にとどまり、決して満足できるシーズンではない。
「実力と結果がすべての世界。この前まで何試合か連続して出場した時はだんだんサッカー選手の体や感覚になっていったけど、試合に出なくなると普通の人間に戻ってしまう。
あと、試合に出ていない選手は立場も弱くなる。過去の実績はあまり関係ない。レギュラーとして試合に出ている選手は発言力があるし、反対に試合に出ていないと何も言えない」
悔しさを押し殺している面もあるが、それ以上に淡々とした印象を受ける。若き日の栗原勇蔵は血の気の多い番長であり、ヤンチャな若大将だった。それが今ではすっかり落ち着き、大人になった。ただ人間として成熟した一方で、昔の栗原を知っている者ならば一抹の寂しさを覚えるのもたしか。
ギラギラと闘志を燃やす日は再びやってくるのか。
「選手はそれぞれ目標や野望があると思う。マリノスで試合にたくさん出ることやタイトルを獲ること、あとは日本代表に選ばれるとか。でも自分の場合、そういった道はある程度通ってきた。向上心や欲はずっと持っていないといけないけど、終わる時は確実にやってくる。だから最近は、マリノスが発展するために何ができるかを考えている。もしお金をたくさん持っているとしたら、オレはマリノスのために使いたい。それで自分の周りにいる人たちをハッピーにしたい」
少なからずセカンドキャリアも見据えた言葉で、いつか訪れるその日を想像することもあるようだ。
これだけ素直にマリノスへの思いを口に出せる選手は、他にいない。嘘ではなく、冗談でもない。栗原にとってはマリノスの一部でいられるのが何よりも幸せなこと。
「トータルで考えた場合、オレはサッカーよりもマリノスのほうが好き。
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