「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

マリノスのサッカーは明らかに変わった。何のために変わったのか。勝つためだ [ルヴァン杯決勝 湘南戦レビュー]

 

監督、選手は異口同音に、前半のパフォーマンスを敗因に挙げた。「自分たちのサッカーができなかった」と。

 予想通り、湘南ベルマーレはアグレッシブな守備戦術を敢行してきた。マリノスの最近のゲームを見れば分かるように、特にゴールキック時はGK飯倉大樹のパスコースを遮断しながらショートパスに狙いを定め、マリノス陣内を格好の狩り場に設定。その形から序盤に何度かボールを失い、失点こそ免れたが冷や汗を流した。

それでも臆することなくボールをつなぐのがマリノスのスタイルだ。しかし、この日は思うようにパスがつながらない。湘南の出足鋭いディフェンスに加えて、芝が長めで乾いたピッチコンディションも不向きだった。天野純の言うとおり「言い訳でしかない」が、マリノスが趣向するサッカーのスタイルに合っていたとは言い難い。

ビルドアップのスタート地点は飯倉。そこから両センターバックのドゥシャンやチアゴ・マルチンスへ。さらにインサイド寄りにポジションを取る松原健や山中亮輔、あるいはアンカーの扇原貴宏を経由してボールを前へ運んでいく作業だが、テンポが生まれない。ショートパスのボールスピードが上がらず、何度もインターセプトされた。

 これが何度か続くと、出し手は次第に際どいパスを選択しなくなる。受け手はパスが出てこないことで顔を出さなくなっていく。悪循環の始まりだ。原因の起点は湘南のプレスか、あるいは不向きなピッチコンディションか。もはやどちらでもいい。結果としてパスをほとんどつなげず、さらに失点まで喫する苦しい前半45分となった。

後半に入って持ち直したようにも見えるが、明らかな決定機はなかった。球際の攻防やこぼれ球で先にボールに触れるのは、いつもライトグリーンの選手だった。マリノスがファイトしていなかったわけではない。この点においては湘南のパフォーマンスが上回っていたと認めるべきだろう。前半のビハインドが最後まで重くのしかかった。

厳しい言い方をするならば、クオリティが足りなかったということ。相手と芝生を上回る技術、そしてメンタルがあれば問題なかった。対戦相手が分かっていても止められないのが圧倒するサッカーのはず。それを目指すのならば、決勝戦での敗戦も自分たちに原因を求めるべきだ。まだまだ力が足りなかった。

 

 

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