「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

サッカーの世界に台本があるとすれば、PKを李忠成が決めて2-2に追いつき、グループリーグを突破するはずだった。だが・・・ [Lカップ6節 長崎戦レビュー]

グループステージ突破に向けて圧倒的有利な立場だからといって選手たちに油断や慢心があったわけではない。事実、立ち上がりから試合を支配したのはマリノスで、相手ゴール前に攻め込む回数も多かった。その証拠として前半だけで獲得したCKは10本を数えており、シュートやクロスといったプレーで攻撃を終えていたことが分かる。決定機を得点に結びつけられなかったのは、最終局面での技術的なミスと同時に相手の頑張りもあったからだ。

オフェンス面に一定の手ごたえがある中で、この試合での得点は天野純の直接FKによる1点のみ。天野にとっては今季初ゴールで、これが復調へのきっかけになるかもしれない。これまではボランチとトップ下の狭間の2.5列目で悩みが先行していたが、この日はトップ下としてのパフォーマンスに注力。「ギラギラしたい」という戦前の言葉を実践した形だ。

天野は「自分本来のポジションはトップ下だと思っている。マルコス(ジュニオール)や(三好)康児もいるけど、その中でいい選手が出場すればいい」と決意を口にする。プレッシャーの少ないボランチで無難にボールをさばくプレーは数年後でもできる。年齢的にも選手として脂の乗り始める時期だからこそ、相手にとって危険な存在でありたいという思いだ。

背番号10がけん引する攻撃陣は、リードを奪われる展開でもまったく下を向かなかった。その象徴がPKを獲得したイッペイ・シノヅカだろう。ここまでルヴァンカップで2得点を挙げ、攻撃のキーマンとなっていた。しかしリーグ戦での出場機会は訪れず、見方によっては不遇をかこっている。それでも「出場するチャンスがあれば全力で戦うのがプロ」と自らに言い聞かせ、この日もPK獲得という殊勲の仕事をやってのけた。リーグ戦で見てみたい選手の一人だ。

 

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