なぜ控えにセンターバックがいないのか。和田に失点と敗戦の責任を問えるはずがない [J15節 清水戦レビュー]
試合後の選手たちは、それぞれの立場や価値観に基づいて言葉を紡いでいった。どれもが正しく、間違いなどなかったと思う。それくらい判断が分かれ、正解を探すのが難しい試合だった。ただし間違いなく言えるのは「悔し過ぎる敗戦」(喜田拓也)ということだろう。
前半の45分間は総じて悪くなかった。立ち上がりからマリノスのポゼッションは清水エスパルスを圧倒し、決定打にならずともボディブローのようにダメージを与えていった。質の違いは歴然としており、得点を奪うためのボール回しができていた。
それがゴールとして結実したのは32分。喜田は右サイドの仲川輝人に出すように見せかけて直線的なグラウンダーパスをゴール前へ。和田拓也が受け手となり、切り返しで相手をかわす。そのボールを横取りするようにエジガル・ジュニオがゴール左隅へ正確なシュートを決めた。
この時点では、数十分後の劇的な結末を誰が予想できたであろう。しかし、スタンドや記者席からは見えないところで、徐々に暗転が始まっていた。
後半のピッチにチアゴ・マルチンスがいない。序盤に相手選手と接触に頭部を強打。前半終了時もメディカルスタッフとピッチを後にしており、大事を取ってハーフタイムに退いた。ちなみに試合後のチアゴは「前半のこともしっかり覚えている。大丈夫だ」と笑顔を見せ、周囲を安堵させていた。
チアゴがベンチに下がったことでセンターバックを務めたのは右サイドバックでプレーしていた和田拓也。交代で入った広瀬陸斗が右サイドバックへ。「センターバックをしっかりやったのは初めて」という和田に無理を強いる形は否めず、予期せぬアクシデントによる不安材料を抱えて後半へ臨むことに。
最初の失点はセットプレーから。右CKをファーサイドで折り返され、左右に揺さぶりに対応しきれず押し込まれてしまった。チアゴ不在の影響も少なからずあったが、それ以上に今季のマリノスが抱える弱点が表面化した印象だ。次節以降の未来は分からないが、むしろここまでセットプレー守備は健闘していたという評価が正しい。
その後半は相手がシステム変更し、前線からのプレスを強調してきた。それによって自陣でボールを失う場面が散見され、押し込まれるシチュエーションも増えた。それがCKでのピンチにつながったという見方もできなくはない。少なくとも前半ほど効果的なボール回しはできなくなっていた。
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