今夏のJリーグ移籍市場の深層をベテラン代理人が明かす(J論)

「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

今季は間違いなく補強の当たり年。周囲を見渡してもこれだけ補強が成功しているクラブはない [前半戦総括コラム(下)]

 

[前半戦総括コラム(上)]よりつづく

 

マリノスの屋台骨を支える二人のセンターバック

 

ディフェンス面に目を移すと、まず最後尾のGK争いがハイレベルの様相を呈している。

開幕時は実績に秀でる飯倉大樹がゴールマウスを守っていたが、第5節・サガン鳥栖戦で新加入のパク・イルギュがマリノスデビュー。以降は実績に勝る飯倉と立場が入れ替わり、ポジション争いで一歩リードしている。

 

 

J3・琉球FCから加入したパクは、飯倉同様に高いビルドアップ能力を誇る。加えてリーダーシップやコーチング能力も高く、安心してセカンドGKを任せられるのはキャンプ時点から確認できていた。リーグ戦とルヴァンカップでの分業制を敷くことも十分に視野に入っていた。とはいえ、これだけ早いタイミングでリーグ戦での出番を掴み、継続的に出場することは想像できなかった。飯倉の負傷が重なったという事情はあるものの、嬉しい誤算と言っていいだろう。現フロントの先見の明には驚かされるばかりだ。

しかしながら絶対的な立ち位置ではなく、何か落ち度があればすぐに飯倉とバトンタッチされるだろう。インタビューでも語っていたようにこういった決して安泰ではなく、現在のような厳しい状況がパクのさらなる成長を促していく。

パクや飯倉とともに守備の中心となっているのが、畠中槙之輔とチアゴ・マルチンスのセンターバックコンビだ。開幕からここまでリーグ戦全試合でこのコンビが最終ライン中央に君臨し、昨季の主力であるドゥシャンやベテランの栗原勇蔵は控えにとどまっている。

 

 

畠中は昨夏にJ2・東京ヴェルディから加入。昨季後半は定位置獲得には至らず、今年に入ってからも宮崎キャンプまで3番手だった。それが開幕直前に格上げされると、自慢のビルドアップ能力で欠かせない存在となり、日本代表にも名を連ねる選手へと成長した。現在23歳という年齢からもさらなる成長が見込める。

相棒のチアゴは抜群のスプリント能力で広範囲をカバーする。マリノスがハイラインを維持できるのは彼の能力によるところが大きい。純粋な走りっこではそうそう負けない選手で、GKが昨季程高い位置を取らなくなっているのはチアゴがいるからこそ。

 

 

オフェンス項目で名前を挙げた選手たちも重要な戦力だが、現行スタイルを維持する上では畠中とチアゴは必要不可欠。今後、彼らを負傷や累積警告などのアクシデントで欠くシチュエーションが最も怖い。

 

 

勝つためのマネジメントをピッチ内外で

 

理想とするサッカーを掲げて常に内容を求めるアンジェ・ポステコグルーだが、最近は少しずつ結果至上に傾倒しているかもしれない。特にマルコスをトップ下に置くシステムに変更してからは、チームとしての攻撃の型が減り、特定の個に依存する傾向が強まっている。

 

 

成績責任を負う監督が結果を追求するのは当然で、批判されるような話ではない。したがって試合後の監督コメントを額面通り受け取るのは少し危険かもしれない。これは試合前の取材にも共通することだが、決して本音を明かさないタイプの人間である。いまだに「直接話したことがない」と明かす選手が多数いるのも、彼なりのマネジメントの一環なのだろう。

 

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