「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

旅立つイッペイ・シノヅカと念願の海外挑戦を実現させる天野純を、最高の形で送り出した [J18節 大分戦レビュー]

スタメン表に天野純の名前があったのは正直、驚きだった。ベルギー移籍の発表は試合前夜遅くだったが、契約上は大分トリニータ戦にも出場できる。とはいえ起用に際してさまざまなリスクが伴うのも事実で、関係者の多くが途中出場を想像していた。リードしている展開でピッチに投入し、最後の雄姿を見せるとともに勝利をプレゼントするのが理想だった。

ここでの先発起用の理由は、ポステコグルー監督が天野を欠かせない戦力として考えているからに他ならない。扇原貴宏は負傷が完全に癒えておらず、天皇杯2回戦・立命館大学戦での大津祐樹や山田康太のパフォーマンスに満足できなかったのだろう。かといってマルコス・ジュニオールと三好康児をスタートからインサイドハーフで並べるのはバランスが悪い。喜田拓也とのダブルボランチを任せられるのは、天野しかいなかった。

その天野は、開始1分に強烈なミドルシュートを放っている。喜田が相手陣内で勇猛果敢なインターセプトに成功。左サイドからのクロスが相手DFにはね返されたボールを、天野は思い切りよく左足で叩く。シュートは枠上に逸れたが、節目のゲームで得点への意欲を見せ、チームに勢いをもたらすのには十分過ぎた。

この試合を最後にベルギーで旅立つ天野、そして試合前には大宮アルディージャへの完全移籍が発表されているイッペイ・シノヅカの壮行セレモニーが行われた。一見するとピッチ外の様子でしかないが、キャプテンマークを巻く喜田の考えは違う。

「勝つ時も負ける時もチームとして動いている。今日はイッペイと純くんのためにも勝つしかなかったし、それも立派なモチベーションだと思う」

 

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