「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

1年半かけて積み上げてきたマリノスのアタッキングフットボールはどこへいってしまったのか [J23節C大阪戦レビュー]

1年半かけて積み上げてきたマリノスのアタッキングフットボールはどこへいってしまったのか。そんな虚無感に苛まれる、蒸し暑い夏の夜だった。

まず、表記に頭を悩ませる不思議な布陣であった。試合前日の非公開練習で試した11人の配置は、ストライカーポジションの選手をあえて置かないものだった。エジガル・ジュニオの負傷離脱後は大津祐樹が務めていた位置だが、この日は3トップ中央という概念を持たずにスタートした。

マルコス・ジュニオールは引き続きトップ下、というかフリーダムなポジショニングと役回りで、両ウイングには仲川輝人と新加入のマテウスを配す。エリキのポジションは最前線ではなくマルコスと横並びで、数字で表すならば4-6-0か4-2-4になるだろう。

もっともフォーメーション図における表記など大きな問題ではない。メディアが読者や視聴者に分かりやすく伝えるための手段でしかない。大事なのは、今回で言えばストライカーの役割を誰が補完するか。得点を奪うのはストライカーだけに頼る必要はなく、そもそもエジガルだけが点を取っていたわけでもない。

そのために選手にどのような役割や指示を与えて機能させるか。その点において、指揮官が十分な仕事をしなかったのは前半の停滞ぶりを見れば明白だ。ただ真新しい布陣に配された選手たちは、その場その場で即興のプレーを繰り出すのみ。パスを受けてから味方の位置や動きを確認し、ようやく次のプレーへ移る。ノッキングを繰り返すアクションは流動性に欠け、チームとしての一体感が感じられないフットボールだった。

 

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