「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

中村俊輔の「勝つためのリーダーシップ」 - Players column vol.3(MF 25 中村 俊輔)-1,906文字-

 

試合後の選手たちのコメントを聞くと、マリノスの中心に誰がいるのか自然と見えてくる。「シュンさんが…」、あるいは「シュンさんは…」、はたまた「シュンさんの…」。富澤清太郎や中町公祐、兵藤慎剛といった中盤でプレーする選手から特によく聞かれるフレーズだ。『シュンさん=中村俊輔』。開幕ダッシュに成功したマリノスの中心には常に背番号25がいた。

中村は決して自己顕示を優先したプレーをしているわけではない。むしろその正反対で、今シーズンはある意味で“彼らしくないプレー”のオンパレードだ。ルーズボールに体を投げ出す。被カウンター時にファウルすれすれのスライディングタックルを相手の後方から仕掛ける。ハイボールに対して必死にジャンプして食らいつく、などなど。泥臭いプレーが多く、マイボール時のテクニックやキックなど“魅せる”作業は二の次だ。「ウチは強いチームじゃない。泥臭いプレーを続けて、接戦を勝っていくことで勝ち点を積み上げるしかない」。その言葉を誰よりも体現している。

そういったプレーの数々がチームメイトの信頼を集める最大の理由だろう。手を抜かないプレーは確実に仲間へ伝播し、チーム力の源となっていく。開幕前から「自分は言葉で引っ張っていくタイプではないので、そういったプレーを率先して行うことで周りに何か伝わればいい」と話していた。いまでは若手からも「シュンさんがあれだけ守備をしているのだから、自分がやらないわけにはいかない」(齋藤学)といった類の言葉がよく聞かれる。

象徴的な場面がある。第6節・川崎フロンターレ戦でのこと。1点をリードして迎えた66分、相手CKから田中裕介のヘディングシュートで同点ゴールを許した。この場面でゴール間近にいた中村はシュートに対して必死に体を投げ出し、あろうことか手でブロックを試みた。結果的に中村の手を弾いたボールはそのままゴールネットに吸い込まれ

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