「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

【無料記事】悔恨の4枚目 -藤井雅彦エクスプレス・コラム-

前々節のボランチから前節はCBへ。そして前節のCBから今節はボランチへ。2試合連続でスタートポジションを変更しながら、富澤清太郎は両方の試合で高いパフォーマンスを見せた。数試合前は調子を落としていたが、ここへきてすっかり復調したようだ。

大宮アルディージャ戦では若い熊谷アンドリューを従えて、中盤の底で攻守に存在感を発揮した。「シュンさん(中村)は合わせてくれているんだろうけど、アンドリューやシュンさんと同じ画を描けた」と笑顔で振り返る。最近はビルドアップの際にボランチがCBの間に入ってボールを回す戦術を採用しているが、この試合ではどちらか役割を決めるのではなく熊谷と交互に下がって役目を担った。富澤は自分が下がった際には出し手となり、熊谷が下がったときは受け手となる。CBではもちろんのこと、ボランチでも前を向く意識が高いからこそ鋭い縦パスを出せる。

守備でもさすがのパフォーマンスだった。的確な予測、そして奪いに出るか否かの判断にほとんど間違いがない。ルーズボールにいち早く反応し、最初にボールに触れてマイボールの回数を増やした。この働きがマリノスの攻撃時間を長くさせ、相手を押し込む状況を作り出す。お世辞抜きにして、もはやチームの肝は背番号27といっても過言ではない。

それだけに終盤に受けた警告が悔やまれる。これで富澤は通算4枚となり、次節の広島戦が出場停止となってしまった。前半に栗原勇蔵が通算4枚目の警告を受けていたのを知っていただけに、より注意を払わなければいけなかった。その点について「ボランチとDFで頭の切り替えができていなくて、迷いが生じて飛び込んでしまった。絶対にもらってはいけないカードだった」と唇を噛んだ。栗原の交代にともなって後半途中からCBに下がっており、ボランチとはプレーの選択が異なる。先発ならば心の準備もできるだろうが、試合途中のポジション変更ではそうもいかなかったようだ。

首位狩りを目論む一戦で富澤を欠くのは大きな痛手となる。鹿島アントラーズ戦で退場したマルキーニョスと前述した栗原も出場停止のため、樋口靖洋監督はまたしてもチームの再編を迫られる。その中でも最も頭を悩ませるのは、2つのポジションを高いレベルでこなせる富澤の穴埋めだろう。重要な選手であればあるほど、そう簡単に穴を埋められない。

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