「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

ピッチ上で『闘う』ことができるようなってきた若手の6日間 [練習試合松本山雅戦 : 十日町キャンプ6日目(最終日)レポート] (藤井雅彦) +樋口・兵藤インタビュー -3,507文字-

 

[松本山雅練習試合リザルト]

場所:クロアチアピッチ
天候:くもり
形式:45分×2本
スコア:6-2(4-1、2-1)
得点者:12分齋藤、13分松本山雅FC、15分齋藤、23分マルキーニョス、42分齋藤、52分松本山雅、58分マルキーニョス、75分O.G(マリノスの得点)

キャンプ最終日のトレーニングマッチと言えば、ここまでの総括的な意味合いになるのが一般的だろう。しかし今回のキャンプは必ずしもそうはならなかった。

1本目 もちろんキャンプ中の練習で見られた『攻撃のスイッチをどこで入れるか?』というテーマに対しての答えとなる『くさびを打ち込んでスピードアップする』というシーンは何度か見られた。代表例として1点目の齋藤学のゴールシーンが挙げられる。ボールカットした田代真一が間髪入れず鋭い縦パスを通し、そこから攻撃は右サイドに展開され、ゴール前でクロスを受けた齋藤が胸トラップからアクロバティックなボレーシュートを決めた。ゴールまでのパス本数はわずかに3本。奪ってから素早くフィニッシュに持ち込む典型例と言えるだろう。

とはいえ、このように練習に成果が出たシーンは上記場面を除いてほとんどなかった。意欲的なチャレンジ姿勢には好感が持てるが、フィジカルコンディションが整っていないせいもあり単純なミスが多発した。それについて樋口靖洋監督は「特に2本目はつなぎのところでつまらないミスが多すぎる。これだったらロングボールを蹴ったほうが良くなってしまう」とコンディションを差し引いても、少し不満気な様子だった。相手がプロとはいえJ2クラブのサブメンバーであれば、やはり意欲だけでなく精度も求めたい。

2本目

2本目

その精度という点において、試合出場組が主体となった1本目が2本目よりもレベルを高く保っていた。特に中盤から前の選手のクオリティの差は明らかにある。兵藤慎剛や齋藤学はボールを受ける際に的確な状況判断を繰り返す。ターンしてドリブルで運ぶのか、あるいはワンタッチでボールを戻して攻撃を作り直すのか。ボールロストが少ないため、攻撃がスムーズに流れる。すると周囲の動き出しも連動する。両SBを織り交ぜた多彩な攻撃が実現するのは彼らのプレーによるところが大きい。今キャンプでは熊谷アンドリューや奈良輪雄太がアピールした一方で、2列目に関してはスタメンとサブの差が縮まったとは言い難い。

また、この試合では中村俊輔不在のため[4-4-2]を採用した。来日が遅れたマルキーニョスに関してはコンディションが上がりきっておらず、この日は約60分間プレーできたことが収穫だ。しかしコンビを組んだ藤田祥史は完全にブレーキだった。周囲とコンビネーションが合わず、無得点に終わっただけでなくシュートシーンにもなかなか絡めなかった。これは藤田自身の問題もあるが、このメンバー構成の中で2トップが機能していないとも言い換えられる。藤田は以前、「2トップでもシュンさん(中村)がいれば違うんだろうけど」と漏らしていたことがあり、中村が中盤の一角にいれば藤田のパフォーマンスを変わってくるはず。だが現状は2トップは中村不在時のオプションにとどまっている。背番号19のジレンマはもうしばらく続きそうだが、中断明けにマリノスが最加速するのに藤田の力が必要になるときが訪れるだろう。どうにか活路を見つけたいところである。(次ページにつづく)

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