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「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

最も得したのはマリノス [プレシーズンマッチ マンチェスターU戦レビュー] (藤井雅彦) -1,422文字-

ゴロゴロ、ピカッ、ドーン。雷を表現するのに、日本人はこの程度の言葉しか持ち合わせていない。試合開始3時間前の日産スタジアムは雷とともに豪雨に見舞われた。傘をさしていても、まったく意味がない。それほどすさまじい勢いだった。

そんな天候と相反するように、スタジアム周辺は熱気に溢れていた。新横浜駅は大混雑だったと聞くし、筆者が利用した小机駅は普段のリーグ戦開催日とはまったく様相が異なっていた。駅構内に露店が並び、どこを見渡しても赤いユニフォームとタオルマフラーばかり。皆が期待に胸を躍らせていた。マリノスもこの日ばかりはアウェイチームになっていた。

しかしながら地上波のゴールデンタイムに生放送するコンテンツとしては極めて微妙だった。注目の的である香川真司は合流2日目のコンディションを考慮してベンチスタート。追い打ちをかけるように前日から体調不良の中村俊輔は試合開始わずか20分でベンチに下がった。無理を承知で出場した中村のプロ根性は拍手ものとはいえ、こうして主役2人を失ったピッチは、興行としてはいささか華やかさを欠いた。

4-2-3-1_佐藤左

それでも各国代表を揃えるマンチェスター・ユナイテッドがプレミアリーグ王者らしい威厳に満ちたプレーを“魅せて”くれれば違ったのだろうが、この日のパフォーマンスは明らかに低調だった。「こういうシチュエーションでは、自分たちにボールを持たせてくれるし、相手にもボールを持たせるというゲームになる」とマルキーニョスは語るが、マリノスの勤勉なサッカーに相手を戸惑いを隠しきれなかった。

とはいえ、個々を切り取って、局面での勝負になるとさすがにワールドクラスの力を持っていた。単純なフィジカル勝負では分が悪く、サイドでの1対1でも苦しい場面が目立った。それでもマリノスが接戦を制したのはマリノスらしさを発揮したからにほかならない。引き分けかと思われた終盤には藤田祥史が抜け目なくゴールを決めた。Jリーグで好調を維持する原動力となっている勝負強さがあった。

さすがは地上波の生中継である。周囲の反響も大きかった。個人的にはリーグ戦の真剣勝負とは違う生ぬるい雰囲気に違和感を覚えていたが、世間一般の人は違う。いまのマリノスを初めて目にした視聴者が大多数なのだ。中村を序盤に欠き、中澤佑二もいないチームが、“あの”マンチェスター・ユナイテッドに勝利した。これはマリノスを知らない人にとっては、おそらく歴史的な事件なのだろう。

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今後、このゲームによってどれだけ動員数が増えるかは分からない。ただしこの日から『ANA』が袖スポンサーとして復活したことを考えると、まったく影響力がないプレシーズンマッチとは言い切れない。少なくとも世間一般に好印象を与えたはずだ。夏休み中に一度くらいスタジアムに足を運んでみようと思っても不思議ではないだろう。

そう思えば納得できないMOM選出も許せる。海外のメガクラブと仲介会社のビジネスにマリノスは便乗したわけだが、結果的に最も得したのはマリノスである。

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