今夏のJリーグ移籍市場の深層をベテラン代理人が明かす(J論)

「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

ドゥトラのような脇役がいるから主役も輝ける [J20節 鳥栖戦レビュー] (藤井雅彦) -1,686文字-

ドゥトラ効果もあってか、この日のニッパ球は活気溢れる夏の夜らしい雰囲気に包まれた。ちなみに今シーズンのリーグ戦でニッパ球が使用されるのは、このサガン鳥栖戦が最後である。ナビスコカップ準決勝の第2戦で使用されるが、リーグ戦はこれで打ち止めとなる。

4-2-3-1_マルキ端戸2013 その試合で満員に近い13,427人の観客を集めた。クラブは『ドゥトラ生誕祭』と銘打ち、ドゥトラのお面を先着10,000人に配布するなど営業努力した。メインスタンドには『ドゥトラシート』が用意され、40歳以上のサポーターが熱い声援を送った。その光景はいささか異様に映ったが、いまのJリーグとマリノスを支えているのがこの年齢層であることを如実に物語っていた。

彼らにとってこの日の主役はドゥトラだろうが、現在のマリノスにおいて彼は主役ではない。まず左SBというポジションがそうであるように、あくまで11人の中では脇役に過ぎない。攻守に渡って地味にチームを支えているものの、最終局面に顔を出す機会は非常に少ない。

しかし、ドゥトラ再加入によってマリノスの左サイドからのビルドアップがどれだけ安定感を増したことか。その貢献度は計り知れない。左利きの左SBの重要性を物語る存在であり、常に一定のパフォーマンスを出すことで周囲に安心感を与える。

鳥栖戦でもドゥトラは脇役に徹した。前方に位置する選手が齋藤学から兵藤慎剛に変わっても自らの役割に大きな変化はない。シンプルにボールを預けて上がる。全盛期のようなスピードやドリブル突破はないが、味方とのコンビネーションで高い位置に進出する。このエネルギッシュなプレーを見て、誰が翌日に40歳を迎える選手と分かるだろう。

ドゥトラのような脇役がいるから、主役も輝ける。この日の主役は中村俊輔とマルキーニョスだった。

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これまで日本のサッカーファンを左足で歓喜させてきた中村だが、この日は自身も驚きのヘディングでゴールネットを揺らした。それは叩き込むようなヘディングではなく、バックヘッドで鮮やかに決めたゴールだ。

「本当は胸にボールが欲しくて、そこからラストパスかシュートのつ4-2-3-1鳥栖もりだった。ちょっと上にボールが来たから狙ってみようと思った。この年齢になってもいろいろなことが起こるからJリーグは面白い」

 何が起こるか分からないのがサッカーの魅力で、それを体現した中村はやはり本物のスターだ。

同じことがJリーグにおける外国籍選手の最多得点記録を更新し続けるマルキーニョスにも当てはまる。1-1の状況で、見事なオーバーヘッドを叩き込む。鳥栖のGKは福岡大所属の特別指定選手だったが、このシュートはプロのGKでも止められなかったはず。このゴールでマルキーニョスのリーグ戦連続得点は『6』となった。鹿島時代の08に記録した『7』にあと1試合で並ぶことになる。同じシーズンにキャリアハイの21得点を記録しているが、いまの勢いならばその更新も十分に可能だろう。怖いのは負傷のリスクのみで、試合に出場できているかぎりは今後もコンスタントにゴールを決めるはずだ。

この日は首位のサンフレッチェ広島も勝利したため、今節を終えての首位獲りはならなかった。しかし3位の浦和レッズ、4位の大宮アルディージャが敗れたため、広島とマリノスが頭一つ抜け出した格好にはなった。次節からFC東京、鹿島アントラーズ、そして浦和、大宮と続く。8月中に残された首都圏勢との4試合の結果が、秋以降の立ち位置を明確にするはずだ。

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