【サッカーパック人気5位】 サブメンバー組が見せる変化の兆しは本物か?【10/17 練習フォトレポ…

「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

試される敗北 [J22節・鹿島戦レビュー] (藤井雅彦) -2,050文字-

右臀部付近の違和感によって鹿島アントラーズ戦を欠場した富澤清太郎は遠征に帯同せず、リアルタイムで試合を視聴していた。試合開始から間もなく、ある異変を感じたという。

「入らなかったけど、始まってすぐに大迫にヘディングを打たれた場面で『あれ?』って思った。外してくれたから良かったけど『今までああいうシーンあったっけ?』って」

4-2-3-1_2013小椋 中盤でのボールロストからマリノスの左サイドを突破され、西大伍のクロスをニアサイドに走り込んだ大迫勇也にランニングヘッドで狙われた場面である。このとき、すでに守備のベクトルが自陣ゴールに向いており、久しく食らっていなかったカウンターを許した。

ピンチはたくさんあったが、前半のマリノスは「みんなが体を張れていた」(榎本哲也)。13分、遠藤康のクロスから柴崎岳に決定的なボレーシュートを許すも、ゴール寸前のところで小林祐三がクリアに成功。15分には大迫が中澤佑二を振り切ってGK榎本と1対1の状況を迎えたが、榎本はギリギリまで我慢してシュートコースに入った。さらに43分には土居聖真のクロスをファーサイドの大迫がヘディングで狙う。しかし、これも榎本が抜かれたあとに中町公祐が見事なカバーリングで事なきを得る。いずれの場面も失点していて不思議ではない大ピンチだった。

内容からすれば決して良好とは言えないが、サッカーにおいて“流れ”は大切な要素だ。どれだけピンチがあっても、失点という形にさえならなければリズムを逸しないことは多々ある。試合当初は違和感を覚えていた富澤もそういった観点で試合を見ていたという。

「3回くらいピンチがあったけど、スーパープレーで守れていた。テレビを見ながら興奮して立ち上がってしまったくらい。これは絶対に勝てる流れだなって思った」

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4-2-3-1鹿島 後半に入っても流れは変わらないどころか「後半の10分すぎから足が止まってしまった」(中澤)。ちょうどこの時間帯に鹿島のトニーニョ・セレーゾ監督は本山雅志を投入し、攻撃に彩りと変化を加えることを決断した。これまでも何度か苦しめられてきた鹿島の天才は、この試合でもマリノスの前に立ちはだかった。効果的なポジショニングと正確な球出し。若い頃のキレこそないが、技巧派として彼以上のセンスを持つ選手はリーグ全体を見渡してもそうはいまい。

その本山からのパスを受けた大迫のパフォーマンスも特筆に値する。前後半で計8本のシュートを放っているが、これはマリノスがこの試合で放った7本を上回る数字だ。形を問わないシュートスキルの高さは、こちらもまたリーグ屈指の存在だろう。失点した2つの場面に関して、榎本はほぼノーチャンスだった。

前半から後ろ方向に追いかける場面が頻発し、それがボディブローとなって後半は足が止まった。中村俊輔は淡々とした表情で「完全な電池切れ」と振り返る。今シーズン、これほどまでに運動量が落ちたゲームはなかった。チャンスの数とゴール数が比例するとは限らないのがサッカーでも、ゴールを決める道筋にチャンスをいかに作るか、があるのは間違いない。前半に小椋祥平の素晴らしいボール奪取から中村のラストパス、そしてマルキーニョスの冷静なフィニッシュがあったとはいえ、そのほかに明らかな決定機はなかった。

中澤は言う。

「焦って2点目を取りに行きすぎたかもしれない。みんなが『ちょっとおかしい』と首を傾げるような感じで、コンディションの問題もあった。ブロックを作っている状況では鹿島にチャンスを与えていなかったので、そういう時間帯を増やすべきだったのかもしれない」

 あるいは引き分けという結果を受け入れるべきだったのかもしれない。しかし、今シーズンここまでたくさんの勝ち星を積み重ね、開幕6連勝時も引き分けが妥当なゲームでも終盤に決勝点を獲得してきた。それが普通になってしまっている弊害も存在している。

リーグはだいぶ煮詰まってきている。この敗戦で首位からは陥落したが、それでも2位という好位置につけている。ACL出場権はもちろん、タイトル獲得も十分に目指せるポジションだ。最後の最後に収穫を得るために、目の前の試合で勝ち点1を受け入れる覚悟はあるか。そのために樋口監督はマネジメント能力を問われ、選手は状況に応じて意思疎通しなければならない。

タイトルにふさわしいチームかどうか。この敗北はマリノスを試している。

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