「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「(子供の頃は) アルマジロを狩っていた。あとは川で魚を釣ることも多かった。すべて自分たちが食べるため。経済的には恵まれていなくても、僕は自然に恵まれていたよ」[ジュニオール・サントスインタビュー (前編)]

ジュニオール・サントスインタビュー (前編)

インタビュー・文:藤井 雅彦

協力:横浜F・マリノス広報室

 

今夏に加入した新助っ人は、加入直後からゴールを量産。ここまで8ゴールを挙げ、瞬く間にファン・サポーターにとってのアイドルとなった。

ヨコハマ・エクスプレスではジュニオール・サントス選手に独占インタビューを行い、知られざるルーツに迫った。今日はその前編を公開する。

野性味あふれるプレースタイルの根源は、どこにあるのか。謎を紐解く一助になれば幸いだ。

 

©Y.F.M

 

そのストライカーはブラジルのバイーア州で生を授かった。

右も左も、あるのは自然ばかり。近代的な都市には程遠く、物心がついた彼の遊び相手になってくれたのは家の近くにある森や川だった。

幼き日のジュニオール・サントスは父親を追いかけて狩りに出ることもしばしば。

「主にアルマジロを狩っていた。あとは川で魚を釣ることも多かった。すべて自分たちが食べるためで、少しでも家計がラクになるように動物や魚を狙っていた」

 裕福とはいえない家庭環境だったが「経済的には恵まれていなくても、僕は自然に恵まれていたよ」と当時を思い出して懐かしそうに笑う。鬼ごっこやかくれんぼをして遊ぶには極上の環境だった。

生まれ育った背景を「誇りに感じている」と胸を張る。

 

 

「貧乏な生活でも苦しいとは思わなかった。常にお金がないなりの遊びを見つけて楽しんでいたから、僕はいつも笑っていたような気がする。そういった生活が普通だったから、耐える力が自然と身に付いたと思う。自分の生まれ育った原点が僕に力強さを与えてくれたんだ」

 初めてサッカーボールを蹴ったのは12歳とちょっぴり遅め。テレビ画面の中で活躍するロナウジーニョの華麗なテクニックに憧れていたが、現実は馬に乗ることが好きな野生児だ。サッカーに興味はあったが、始めるきっかけがなかった。

「サッカーをやってみたいと思ったことはあるけど、あまり器用ではない自分には向いていないと思ったんだ。それに裕福な家庭ではないことは理解していたので、父親にスパイクを買ってほしいと頼む勇気もなかった。ボールを蹴ってみたいという好奇心を心の奥底に隠していた」

 我慢は苦ではなかった。それに今の生活に不満があるわけでもなかった。

そんなある日、運命を変える出来事が起きる。

 

 

 

 

PREMIUMコースとは

(残り 1331文字/全文: 2414文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

tags: ジュニオール・サントス

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ