【サッカー人気5位】リカルド監督が戦術理解度が高まってきて…

「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

甲府は今年の最初に対戦したときとはまったく違うチーム [J28節・甲府戦プレビュー] (藤井雅彦) -2,192文字-

監督、選手の見解は一致している。それは第三者であるメディアから見ても明らかだ。ここでは代表して栗原勇蔵のコメントを引用する。

「甲府は今年の最初に対戦したときとはまったく違うチームになっている」

3-4-2-1甲府 現在15位のヴァンフォーレ甲府は残留のために現実路線に舵を切ったようだ。シーズン途中に積極的な姿勢を見せ、外国籍選手を複数人獲得した。システムも開幕当初の4バックから3バックへとシフト。守備時は5バック気味に守り、試合終盤のパワープレーで勝ち点を稼いだ試合も少なくない。

「甲府は守るときの[5-4-1]がしっかり整理されている。割り切っている感じがあるし、守るときは全員で守る」と樋口靖洋監督は分析する。自陣深くにブロックを形成してくる相手をどう崩すか。しかも守備意識が高まっている相手だ。これこそが今節最大のテーマと言えるだろう。

試合に臨むスタメンについて触れると、富澤清太郎を累積警告による出場停止で欠くことが決定している。代役は小椋祥平だ。危機管理能力の高い富澤不在は痛手だが、高い位置でボール奪取能力を発揮する小椋は貴重な人材である。相手が守備陣形を整える以前に、小椋の単独ボールハントで無力化させることができるかもしれない。鹿島アントラーズ戦のように高い位置でボール奪取できれば、そのままゴールに直結するプレーを期待できる。

下バナー

富澤→小椋の変更を除き、マリノスは今シーズンのベストメンバーとなる。前節の仙台戦を左内転筋痛で欠場したマルキーニョスも今週からフルメニューをこなしている。また、先週の終わりに発熱していた齋藤学も今週は無事にトレーニングを消化している。日本代表に選出されたことをきっかけに「まずは甲府戦で結果を残して、それから代表に合流したい」と鼻息を荒くしている。
一方で不安な点がある。それは今週に入ってからのトレーニングで見え隠れした采配に関する事項だ。今週は水曜日と木曜日に紅白戦形式の練習を行ったが、そこでCBのファビオをボランチで起用するシーンがあった。今シーズン始動日以降、一度も試していない布陣を夏が過ぎ、すっかり秋も深まった10月に試す。適正有無の問題ではなく、その行為が周囲の混乱を招く可能性がある。

4-2-3-1_2013小椋 ファビオの起用法について言えば樋口監督の「彼はもともとブラジルでボランチとしてプレーしていた経験がある」という言葉に偽りはない。彼曰く、SC相模原に所属していた昨シーズンもボランチでのプレー経験があるという。富澤不在による高さ不足を補うという点でも貴重な人材だ。練習ではビハインドを追いかける場面でファビオをワンボランチに据えた[4-1-3-2]、さらに甲府のパワープレーに対抗するために今度は本職のCBで起用する[5-4-1]を試した。いずれもファビオの高さは重宝するだろう。

考えるべきは、試合終盤限定とはいえ本来CBの選手をボランチで起用するというリスクだ。これはパワープレーでFW起用するのとはまったく異なる質の問題だ。具体的に言えばCBの中澤佑二や栗原はファビオがボランチとしてどんなプレーをできるのかを知らない。想像はできても、把握はしていない。対戦相手と戦う以前に、味方のプレーを慎重に観察し、想像に基づいてフォローしなければならない。その瞬間、マリノスは隙を作りかねない。

終盤戦に向けてオプションを一つでも増やしておきたいという指揮官の気持ちは痛いほど分かる。そのとき真っ先にファビオの能力の高さを生かそうとする考え方も当然だろう。ここのところセットプレーからの無得点が続いている状況を打破するためにも有効な策に見える。

一方でボランチがチームの心臓部を担っていることを忘れてはいけない。付け焼刃で務まるポジションではないのだ。ましてやワンボランチでの起用となるとリスクが高すぎる。警戒しているパトリックに起点を作られ、2列目からジウシーニョの突破を許す。そんな最悪のケースが目に浮かぶ。危険なスペースを提供すれば、たちまち甲府の思うツボとなるだろう。

マリノスがしっかりと力を発揮すれば、このようなリスキーな起用法を実施することなく試合を終えられるはずだ。具体的に言えば先に2点取れば問題なく試合を終わらせられるだろう。そのときは右ふくらはぎ痛を訴えている中村俊輔を早々にベンチへ下げることも視野に入る。佐藤優平やジョン・ドンホ、あるいは比嘉祐介といった最近の準主力がベンチから外れるのは不思議でならないが、今後を見据えたゲームマネジメントができれば最高だ。

甲府の堅いブロックを崩するか、それとも否か。後者になってしまった場合、自らバランスを崩して最悪の事態を招いてしまう可能性も否定できない。

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ