「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

オナイウの最大の長所は混戦、競り合い、こぼれ球に強いこと。そして、優しさと慈愛が詰まった美しいアシストにはエゴイスティックさが感じられない [J27節 浦和戦レビュー]


 

 

オナイウ阿道が躍動した。

浦和レッズ戦でのポジションは普段の3トップ中央ではなく、マルコス・ジュニオールや天野純が主戦場としていたトップ下。輝いたシチュエーションは相手ゴール前でのシュートシーンではなく、そのひとつ前、あるいはふたつ前の局面だった。

 

 

開始2分、マリノスはゴールキックから普段通りショートパスをつないでいく。實藤友紀の縦パスを自陣に下がりながら受けたのはオナイウ。巧みな動き出しフリーの状態を作り出し、さらに相手を引き付けてサイドにボールを展開することでジュニオール・サントスの先制点をお膳立てした。

 

 

追加点の場面は水沼宏太のアーリークロスと決めた前田大然が素晴らしかった。だが、水沼のクロスに対して、前田の手前にサントス、さらにその手前のレーンにオナイウが入り込み、相手DFGKの目線を引き付けていたことを見逃してはいけない。

 

 

チーム3点目はサントスの巧みなポストプレーを受けたオナイウがしっかりと前を向いたことで攻撃が加速。相手に囲まれていながらも小池龍太が走り込むのに必要な時間を作りつつ、丁寧なラストパスを流し込む。フリーでGK11を迎えた小池は空いているコースに蹴り込むだけだった。

 

 

4点目にもオナイウがしっかり絡んでいた。まず味方が自陣で弾き返したクリアボールをしっかり収めて味方へつなぐ。すぐさま前線へ動き出し、再びもらったパスの流れを止めることなく右サイドの水沼へ。水沼からのクロスを受けたサントスが個人技でこの日2点目を叩き込む。

 

 

ポステコグルー監督は今シーズンから加入した背番号45を一貫してストライカーポジションで起用してきた。浦和レッズ戦までにリーグ戦23試合に出場しているが、途中出場が多いためプレータイムは846分と短い。サントスやエジガル・ジュニオ(現在はV・ファーレン長崎付き期限付き移籍中)、あるいはエリキらとの競争を制してポジションを勝ち取ったとは言い難い。

ここで、ある疑念が湧いてきた。本当にストライカーポジションが適正だったのか?

昨季は大分トリニータの一員としてJ110得点を挙げ、年末には日本代表に選出された。マリノスに加入してからのリーグ戦3得点もオナイウにしかできないゴールで、回数は少ないながらも瞬間的に力強く光り輝いてきた。

 

 

だが浦和戦でのオナイウは、ずっと光っていた。

 

ヨコエク

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