「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

栗原勇蔵ロングインタビュー[2] マリノスは、バルセロナやアーセナルを目指してそれがダメになってゼロから作り直すことを繰り返してきた -2,759文字-

20131002_125952

 

ロングインタビュー(第ニ回)
DF 4 栗原 勇蔵(横浜F・マリノス)

聞き手:藤井雅彦 写真:星智徳

 

 マツさんやボンバーといった限られた人にしか分からない次元の話もある

――先月の9月18日に節目の30歳になったわけだけど、年齢を重ねて周りからの見方が変わってきたと感じる?

「30歳になったけど、まだオレはベテランとして見られていないよね。何歳になっても後輩からは『勇蔵くん』と呼ばれて、『勇蔵さん』とは言われない。つまり、そういうことなんじゃない?(笑)」

20131002_124355――親しみやすい先輩ということで(笑)。自分自身に『もっと成長できる』と期待している?

「若いときは、なんでもできる選手になりたいと思っていた。でも、できるプレーとできないプレーが分かってきたつもり。特にCBは経験が大事なポジションで、ここから先はもっといいプレーができる自信はある」

――CBは経験がモノをいうポジションだと思う?

「そうだね。CBというポジションの意味は20代半ばからやっと分かってきた。それまではあまり考えずに能力任せでプレーしていた。周りの人はいまみたいに『CBは経験だ』と言ってくるけれど、監督やコーチも含めてCBとして自分くらいの域に達した人でないと分からないこともある。言葉だけを使われても『本当に知ってるの?』とオレは思うよ」

――具体的に言葉にするのは難しい次元の話?

「それは難しいね。感覚的なところが大きくて、オレは25~26歳からやっと分かり始めてきた。経験したことがない人は一生分からない。一緒にプレーしてきた選手だったらマツさん(故・松田直樹)やボンバー(中澤佑二)といった限られた人にしか分からない次元の話。よその人の言葉をそのまま使われても、ちょっと困る」

――日本代表に選ばれるようになって、プレーや考え方の幅が広がった?

「それはあるけど、逆に知らないほうがいいと思うこともある。世界のすごい選手と戦うと臆病になってしまうときがあるから。優れた選手と対戦したら『それに負けないように』と思うもの。でも、世界にはどう考えても太刀打ちできない相手もいる。そうなると臆病になってチャレンジしなくなる。何も分からなければ、ガムシャラにプレーして、それがファインプレーになることもある。かわされたとき、抜かれたとき、ミスしたときのリスクや責任を考えないほうがいい場合もある。世の中には知らないほうがいいこともあるよ(苦笑)」

下バナー

(残り 1833文字/全文: 2844文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

tags: 栗原勇蔵

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ