「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「心の準備はできていた」 わずか1ヵ月半前はJ2の栃木SCへ育成型期限付き移籍していたオビ・パウエル・オビンナは、ここへきて急激な進化を遂げようとしている

 

グループステージのMVPを挙げるとしたら、再開初戦の上海上港戦でオスカルのPKを止めたオビ・パウエル・オビンナの名前が真っ先に挙がるだろう。

わずか1ヵ月半前はJ2の栃木SCへ育成型期限付き移籍していた男は、ここへきて急激な進化を遂げようとしている。

 

©Y.F.M

 

J1デビューは11月14日の浦和レッズ戦だから、あれから3週間しか経っていない。その4日後の川崎フロンターレ戦では高丘陽平の退場をうけ急きょ出場。小林悠のPKを止めて存在感をアピールした。

その勢いのままACLに臨み、ここまで3試合に先発してハイパフォーマンスを披露している。

オビ自身とマリノスに好気流をもたらしたオスカルのPKストップの場面を振り返った。

「PKになった瞬間からプレッシャーをかけようと思って、それはフロンターレ戦でも同じだった。キッカーが有利と言われる状況で、GKがどういう駆け引きをするか。一つひとつの動作や自分を大きく見せるとか、あとは相手のタイミングや雰囲気にならないような態度を示すこと。ちょっとした駆け引きをやっていて、あとは方向さえ合っていれば止められるという自信があって、結果的に止められた」

 大きなオビがもっと大きく見えた理由は、心身ともに工夫しているからだった。

 

©Y.F.M

 

ここからは負けたら終わりの一発勝負の戦いへ。ノックアウトステージ独特の緊張感にも打ち克たなければならない。ゴールマウスを守る者として責任重大だ。だがオビはそのプレッシャーも楽しんでいるように見える。

「GKはひとつのプレーで流れを変えられる。後ろが安定していることで攻撃陣は安心して攻めることができる。後ろが失点ゼロなら、マリノスの攻撃は相手の壁を崩せる」

 臆することなく自分らしいパフォーマンスを発揮してゴールを守り、仲間の得点を信じる。勝利のみを求めるオビがトリコロールの正守護神に名乗りを上げる。

 

©Y.F.M

 

[コメント]

GK 31 オビ パウエル オビンナ

――ACL再開初戦のPKストップというビッグプレーが予選突破につながったと思う。ここまで出場した3試合のパフォーマンスを振り返ってほしい

「初戦が一番難しい試合になると思っていて、なかなか点も入らず展開としても難しかった。PKになった時に、Jリーグとは違う判定があったり、相手もすぐ倒れたりしていたので、ああいう形でピンチがあるかもしれないということは試合前から準備していた。そこで焦らなかったことが止められた要因だと思う。初戦で勝てたのでいい流れにしたかったけど、ただ次の試合で負けてしまった。その試合はグループステージならではというか、負けても終わりではない状態だったからかもしれなくて、あれが決勝トーナメントだったら日本に帰らないといけなかった。1失点目も2失点目も止められたシュートだと思うし、あれで気が引き締まった。一つひとつのプレーをしっかりしないと決勝トーナメントは勝てないと思った。自分が出場した3試合目は失点したけど攻撃陣が点を取ってくれた。細かいミスはあったけど連敗しなかったのは良かった」

 

――オビ選手は少し前までは栃木でプレーしていた。今のこのような状況は想像していた?

「この状況にするのは簡単ではないと思っていた。栃木に行く前にこの状況になったら焦っていたと思うけど、この状況にするために栃木に行った。栃木では良いプレーと悪いプレーがあったけど、J1やACLでどういうプレーするかイメージしながらプレーして、心の準備はできていた」

 

©Y.F.M

 

――ノックアウトステージは一発勝負の戦いになる。得点だけでなく先制されないことが大事になると思うが、ゴールマウスを守る選手としての意識は?

 

 

ヨコエク

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