「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「マリノスでの初ゴールや、日産スタジアムでの初ゴールもうれしかった。育成組織で育った僕としては小さな頃からの夢だったので、それを達成してお立ち台に上がれたときは興奮しました(笑)」[水沼宏太インタビュー(後編)]

【水沼宏太選手インタビュー(後編)】

インタビュー・文:藤井 雅彦

 →前回からつづく

 

 昨季、9年半ぶりにマリノス復帰を果たした水沼宏太は、瞬く間にチームリーダーのひとりとなった。

 練習で率先して大きな声でチームを盛り上げ、試合ではベンチに座っていても絶え間なくチームメイトに指示を送る。スタジアムに響き渡るその声を耳にしたファン・サポーターも多いだろう。

 コロナ禍という特別な環境下でプレーした2020シーズンを終えて、水沼は強く願っている。

F・マリノスのチャントがスタジアムに響いてほしい」

 日常が早く戻ってくることを切に願い、そしてトリコロールに歓喜をもたらすために、臆することなく提言する。

 もうすぐ始まる新シーズンに向けて、背番号18は気合いを漲らせている。

 

©Y.F.M

 

――あらためて水沼選手にとって2020年はどんなシーズンでしたか?

「とにかく悔しいシーズンでした。出場機会が少なかったことだけでなく、大事な局面でピッチに立っていられないのは選手としてとても悔しい。例えば、開幕戦のガンバ大阪戦やACLで最後の試合になった水原三星戦で、僕はベンチに座ったまま試合終了のホイッスルの音を聴きました。チームの一員である以上、ベンチメンバーやメンバー外の選手にも役割はありますが、自分を表現するためにはやはりピッチに立っていないといけない。『自分にはもっと何かできたはず』という思いがあります」

 

――9年半ぶりのF・マリノス復帰でした。シーズン当初は戸惑いや難しさがありましたか?

「プロサッカー選手としてのキャリアをスタートさせた古巣だけど、まったく新しいチームにやってきたという感覚でした。F・マリノスのエンブレムを背負って立つ重みはわかっていましたが、具体的なサッカーについてはゼロから勉強しなければいけなかった。どんなサッカーをやるのか、どんなメンバーとやっていくのか、は観察している部分もありました。だから行動に移すのに少し時間がかかった部分もあったと思います。でも緊急事態宣言が発令されてからの自粛期間中に2019年の試合を個人的に見直して、そのおかげで自分なりにサッカーのスタイルや考え方を落とし込めました」

 

 

――素晴らしいアシストの数々や、F・マリノスの選手として決めた初ゴールがありました。

「一定数のアシストができたのは良かった点だと思います。それからF・マリノスでの初ゴールや、日産スタジアムでの初ゴールもうれしかった。育成組織で育った僕としては小さな頃からの夢だったので、それを達成してお立ち台に上がれたときは興奮しました(笑)。日産スタジアムでプレーするのは気持ちがいいですし、そこでゴールを決めることができたのは僕にとって宝物です。でも全体的な数字には満足していません」

 

 

 

――リーグ戦25試合に出場しましたが、先発は13試合でプレータイムは1,109分でした。この数字については?

「これだけ試合に出られなかったシーズンは個人的に久しぶりです。連戦だから継続的に出場できなかったという見方もできるけど、連戦がなかったらもっと出場試合数は少なかったかもしれない。もっとチームに貢献するために数字を残せる自信があったし、監督からの信頼を得るためのプレーが足りなかったということだと思います。ただ、もし出番を得られなくても準備を怠ってはいけない。それは今までのプロ経験で培ってきたことで、自分自身が常に心掛けていること。だからこそ久しぶりの出場機会で結果を残せた試合もあったと思います」

 

 

――昨年はコロナ禍での特殊なシーズンで、例えばシーズン再開当初は無観客の状態でした。そこから段階的にファン・サポーターが観戦できるようになりましたが、水沼選手の大きな声はいつもスタジアムに響き渡っていました。

 

 

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