「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「マルキが急にいなくなって、フジくんが出場停止で、いろいろなアクシデントある中でチーム全員で戦うしかない」(端戸) +俊輔・中澤・斎藤・兵藤・中町他 -3,841文字-

【試合に向けて】

DF 22 中澤 佑二

「今年の練習が終わった。感慨は意外とないものだった(笑)。ウチはリー グ戦が2位で、ナビスコはベスト4、それで天皇杯は決勝まで進んだ。マリノスと広島は年間を通して安定したチームだった。今年は3つの大会で総合力を問わ れるシーズンだった。でも広島はそれを2年続けてやっている。だからマリノスは来年、真価を問われる。そのために2014年最初のゲームを勝利で飾りた い。これまで天皇杯をテレビで観た記憶はない。天皇杯は観るものではなくて、プレーする大会。初めての元日決勝なのでドキドキワクワクしている」

 

樋口 靖洋 監督

「(端戸)仁はこの2週間、FWとしてやることが多かった。その準備をしてきたつもり。ラッキーボーイになるような気がしている。広島の独特なスタイルに対して、ウチのスタイルで上回れるか。この決勝に関してはウチのスタイルを出すことが一番大事。ほかのチームのことを言うわけではないけど、広島に対してシステムを変えてミラーゲームに持ち込んでいるチームが多い。でも自分たち本来の姿ではない戦い方では意味がない。ウチはリーグ戦でも自分たちのスタイルを貫いて2勝している。恐れることなくウチのスタイルで戦いたい。ただトーナメントの決勝なので独特な雰囲気があると思う。一発勝負なので慎重なゲームになるかもしれないその中でもアグレッシブにゴールを狙いたい。今年はウチと広島のシーズンだったと思うし、ウチよりもリーグ戦で一つ上の順位だったチームをリスペクトして戦いたい。
大晦日に練習できるのは幸せなこと。2チームしかできない。でも練習内容は粛々とこなしている幹事。僕たちはチャンピオンチームにチャレンジする立場。リーグ戦のときとは違う。今年の公式戦は最大で51試合あって、明日の決勝戦は50試合目。ナビスコカップ決勝以外のすべてのゲームをこなした。常勝チームはこれくらいの試合数になる。優勝すれば視界が開ける。9年間タイトルから遠ざかっていて、タイトル獲得を経験した選手は少ない。マリノスというクラブが先に進むために、どこかで成功体験が必要になる」

 

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MF 7 兵藤 慎剛

「次を勝たないと本当に意味がない国立といえば、高校サッカーを思い出す。青春の真っ只中に目指していた場所なので、高校サッカー経験者にとっては特別な場所。限られた試合でしか使えないプレミア感がある。自分は運良く高校、大学であの場所を使わせてもらったので、いいイメージがある。天皇杯はいつも正月に実家で悔しい思いをしながら観ていた。その舞台に立てるのは幸せなこと。サンフレッチェも勝ちたい気持ちは同じ。いいゲームをして楽しみたい。リーグ戦の残り5試合は負傷もあって、自分が納得できるパフォーマンスを出せなかった。でも、いろいろな経験があって、今の自分がある。だから前向きに考えたい。広島はスタイルが確立去れているチーム。リーグ最少失点で、リトリートして守れるのが強み。でもマリノスにとっては悪いイメージはない。決勝は簡単にはいかないだろうけど、相手の時間帯はしっかり我慢して戦う」

DF 27 富澤 清太郎

「いろいろな思いというよりも、普通の気持ちで決勝戦を迎えられると思う。決勝の相手はどちらでもよかった。もちろん相手の特徴は理解しているつもりだけど、それよりも自分たちが普通に戦うことが大事。リーグ戦の最後のプレッシャーを経験しているから、いまは普通に戦える。難しかった大分戦を乗り越えて、鳥栖戦では自分たちの良さを出せた。決勝ではもっと色を出せると思う。ヴェルディ時代の天皇杯決勝の日は晴れていた記憶がある。晴れ晴れした中で、身が引き締まる思いというか、新たなスタートという気持ちになった。自分がチームを引っ張るというのではなく、自分の仕事をするだけ。プラスαの仕事をする選手はたくさんいる。普通にやって、普通に勝ちたい」

FW 11 齋藤 学

「元日にサッカーができるのは幸せなこと。でも喜べるのは1チームだけ。ここで負けたらここ数年と変わらない。しっかりタイトルを獲って、2013年を締めくくりたい。広島は自分たちの形を持っているチーム。ウチとしては今年は2回とも勝っているし、自信を持って臨める。トーナメントなのでリーグ戦とはちょっと違う雰囲気になるかもしれない。それでもやり方は同じだと思うので、戦い方のイメージはできている。しっかりボールを持って、相手の間を使っていきたい。相手にボールを持たれる時間帯もあるだろうけど、ウチがしっかり守れば問題ない」

MF 8 中町 公祐

「広島が強いチームという前提で、優勝にふさわしい2チームが残ったと思う。面白いし、意義深いゲームになる。広島はスタイルが決まっているチーム。誰が出てもコンセプトは変わらない。毎年、選手が入れ替わってもスタイルを貫いているから勝ち点を積み上げることができるのだと思う。攻め残ってショートカウンターを狙ってくるので、そこには注意したい。でも何度も対戦しているし、悪いイメージはない。相手のペースに惑わされないのが解決策だと思う。ボールを持たれていても、持たせていると思えばいい。やられているではなく、やらせているという感覚。そういうメンタルが大事になる」

FW 17 端戸 仁

「今年1回も公式戦で出ていないポジションで出るかもしれないので多少の不安はあるけど、いろいろな巡り合わせでこうなった。FWで使っても大丈夫というところを見せたい。自分は普段の練習とかの行いが結果につながると思って今年1年やってきた。マルキが急にいなくなって、フジくん(藤田)が出場停止で、いろいろなアクシデントある中でチーム全員で戦うしかない。自分はボール触ってリズムを作るタイプなので試合のファーストタッチが重要になる。それと自分は一人でボールを持って行けるタイプではないので、(齋藤)学やシュンさん(中村)、ヒョウくん(兵藤)とうまく絡みながらやっていきたい。国立は一度もプレーしたことがないので、楽しみ」

DF 4 栗原 勇蔵

「足の状態は大丈夫だと思う。腫れもない。もう片方の準決勝をテレビで観て、PKになったときはFC東京が有利だと思っていたけど、周ちゃん(西川)がPKを止めて勢いをつけて決勝に上がってくる。さらに難しい試合になった。でも舞台は整ったし、リーグ戦での借りを返したい。リーグ戦では2回決勝みたいな試合があって、優勝できなかった。広島はみんな楽しそうにプレーする。自分としてはリーグ戦ではどのチームもほとんど差がないと思っていたけど、こうやってリーグ戦の上位2チームが天皇杯の決勝に残っているのも偶然じゃないと思う。力のある2チームが残った」

MF 25 中村 俊輔

「浦和にも広島にもリーグ戦で2勝している。3~4年前はこちらの間をおもしろいように使われて崩されたけど、ここ1~2年は攻撃時に[4-1-5]になる相手に対して、ウチのサイドハーフが下がらないようになってきた。それと広島は速攻がうまい。青山くんから(佐藤)寿人への一本のパスもある。でも決勝だから何が起こるかわらかない。先に点を取ったチームが有利になる。Jリーグアウォーズで優勝チームが全員で来ているのを見たけど、自分たちに限らずほかのチームにとってはおもしろくない。いい景色ではないよね。今度は自分たちが国立の階段をカンカンと上がっていきたい。チームとしてはそんなに力が入っていなくて、いい状態だと思う。リーグ戦の新潟戦やフロンターレ戦の前とは違う。今年最後の練習だったけど、リハビリしている選手はいないし、スタッフも全員が揃っている。どこのチームもこの時期にベストパフォーマンスを出しているわけではない。鳥栖もマリノスもそうだった。だから、いかに泥臭く戦えるか。ちょっと強引にシュートを打って、それがCKになったりしてゴールが生まれる。小さいことで勝負が決まる。今日はミーティングや特別なことはしない。自然と戦う雰囲気になると思うので余計な刺激は与えない」

GK 1 榎本 哲也

「一番いいのはPK合戦の前に決着をつけること。でもPKになったら、それはそれでおもしろい。データといっても、広島が2回PK合戦を勝ち上がってきたというだけ。あまり意識しすぎないようにしたい。ここまできた優勝したいし、相手も不足ない。世間は大晦日だろうけど、自分たちはこれまでの練習の日と変わらない。天皇杯決勝は92年のマリノス対ヴェルディのゲームを観戦したことがある。GKはシゲさん(松永GKコーチ)だった。そのピッチに自分が立つのは想像していなかった。マリノスらしく勝ちたい」

DF 13 小林 祐三

「楽しみながらやりたい。日本サッカーのカレンダーの中で重要な位置を占める日だと思うし、正月くらいはみんな家でテレビを観ていると思う。でも、それは外からの感覚であって、自分たちがやることは変わらない。リーグ戦で2試合勝っていることはあまり関係ない。相手がいるスポーツだし、2回負けている広島は何か変えてくるかもしれない。ウチとしてはいつもどおり戦うことの難しさ、大事さを知っているつもり。ベストゲームをするというのは口で言うほど簡単ではないけど、やっぱりベストゲームをしたい。リーグ戦の悔しさはリーグ戦でしか晴らせない。ただ、チームとして1年間やってきた自信や誇りを優勝という形にしたい」

 

 

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