「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「笑っているチームもあるけど、必ず1チームしか笑えないわけだから」 監督 樋口 靖洋 インタビュー【1】 

最後の最後に栄冠を掴み損ねた。だが、2013シーズンのマリノスの歩みは決して間違っていなかった。Jリーグアウォーズでは優秀選手に10人を輩出し、中村俊輔と中澤佑二はベストイレブン、中村はMVPも合わせて受賞した。他チームも認めるパフォーマンスだった。

そのチームの指揮を執ったのが樋口靖洋監督だ。リーグ戦が終わり、年末に差し掛かったある日、ヨコハマ・エクスプレスの独占インタビューに応じてくれた。初回は、リーグ戦2位に終わった心境を赤裸々に語る。

(インタビュアー:藤井 雅彦 インタビュー実施日:12月27日(金))

 


 

 

――リーグ戦が終わり、少し時間が経ちました。まずはリーグ戦2位という結果に対する率直な気持ちを聞かせてください。

「一言で言えば、悔しい2位ですね。最後の2試合は周りからの期待の大きさを感じながら、それに応えられなかった悔しさや申し訳なさばかりが残った。追い上げて届かなかった2位ではない。掴みかけていたものが掴めなかった2位という意味で、とても悔しい思いが残っています」

――優勝か、それ以外か。最後の2試合の結果が及ぼす影響があまりにも大きすぎました。

「でも現実として、それを受け止めなければいけない。1位と2位はそれくらい違うものですから」

――例えばドゥトラは11月下旬の段階で「結果はどうあれ、今年は自分たちが一番安定したいたと思う」と話していました。僕もそう思います。

「年間を通して考えれば今年は安定して、波の少ないシーズンを過ごすことができました。波が少ないチームは最終的に結果を出せる。でも最後の結果だけを見ると、掴み損なった悔しさが残りましたね」

――結果だけを見ると、ラスト4試合で3試合を落としている。これが唯一の“波”だったとも言えますが…。

「まだ34試合を戦い抜く力が足りなかった。もしかしたら32試合を戦う力はあったと捉えられるかもしれない。ラスト2試合で足りなかったものを埋めなければいけない」

――残り2試合だけに焦点を当てると、クラブ全体が異様な雰囲気に包まれていたと思います。あらためて振り返ってみて、どういった感想ですか?

「たしかに周りの空気感は少しザワついているというか、浮き足立っている雰囲気がありました。ではピッチ内はどうか。少なくともトレーニングを見ている限りはそういった雰囲気が大きく感じられることはなかった。ピッチの中でソワソワしているのではなくて、わりと落ち着いていた。それは僕自身もそうだし、スタッフも、選手も。でも試合当日になれば少なからず変わる。当然、プレッシャーがかかる状況だったと思います。それもあってか残り2試合はどちらのゲームも堅さがあって、躍動できませんでした」

――6月に十日町で行ったインタビューでも「躍動感のあるチームと言われたい」とお話してされていました。それが足りなかった?

「少し構えてしまった。“負けたくない”と“勝ちたい”は大きく違う。残り2試合は気持ち的に守りに入ってしまって、チーム全体としてもあと一歩が出なかった。新潟戦、フロンターレ戦ともに最初の対戦と比較すると、内容が良くなかったと思います」

――その一方で、最後に戦った新潟とフロンターレはとても良いチームだった印象が強くあります。

「終盤になるにつれて尻上がりに調子を上げていたし、勝ち点数としては後半戦の1位と2位タイのチームですからね。トータルで考えて、最終節にあんな演出があるという巡り合わせも含めてJリーグだと思う。最終節で上位6チームがそれぞれの組み合わせになる対戦カードをよく作れたものですよ(笑)」

 

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