「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

変わらないサッカーの方向性。少しだけ変化が見えてきた起用法 [J20節 徳島戦プレビュー]

 

キャスティングの妙を実現できた背景

 

ここまでに消化した試合の中でも上位にランクされるようなハイパフォーマンスを見せたサガン鳥栖戦から中3日、今度はアウェイでの徳島ヴォルティスに臨む。

まずはその鳥栖戦の振り返りから。

選手たちのメンタル面の充実ぶりが光った。「チームとして状況が少し変わって、絶対に勝たなければいけない試合だった」と話したのはリーグ戦4試合ぶりの先発となった扇原貴宏。マリノスは天皇杯とルヴァンカップを失ってしまったが、リーグ戦ではタイトルを狙える位置につけている。この一戦に懸けるモチベーションとテンションがとても高かった。

 

 

それと並行してキャスティングの妙も大きかった。スタメン選考や起用法について、暫定的に指揮を執っている松永英機監督は「まずはスタッフでいろいろな話をしてきた。チームの中に入ると今まで見えなかったものが見えたりするので、そこはざっくばらんに共有させてもらった」とすべてを明かさないものの、新しい空気が流れているのは間違いない。

これまではアンジェ・ポステコグルー監督がすべての決定権を持っていた。それは責任の所在を明らかにするという覚悟や使命感をともなう。一方で、今の暫定体制はさまざま立場の人間がいろいろなアングルから意見を出し、全員で集約できるというメリットがある。

 

 

負傷明けとはいえティーラトンは練習でフルメニューを消化していた。ポステコグルー監督だったら迷うことなく先発起用していたのではないか。あるいは交代カードの切り方でも、仲川輝人を起用せず水沼宏太を投入できただろうか。良くも悪くも3年半という月日や2019年のリーグ優勝が選手の序列を作り、凝り固まった采配になっていた側面は間違いなくある。

何度も繰り返しているように、監督退任によってサッカーの方向性が変わることはない。たどってきた道は今後も続いていく。ただ、その道を太く、長く、より豊かなものにできる。

これからのマリノスが楽しみだ。

 

 

大幅な先発変更はなさそうだが…

 

中3日は中2日と比較すれば格段にゆとりを持って臨めるが、それでも連戦であることに変わりはない。ポステコグルー前監督は昨季ほどではないにしても選手を入れ替えることが可能なポジションではターンオーバーしてきた。

そのあたりのマネジメントがどうなるか。前述したようにすでに練習復帰しているティーラトンは先発するのか、中盤の底は扇原貴宏と岩田智輝が継続して起用されるのか。あるいは前線でもレオ・セアラ、水沼宏太、そして仲川輝人というそのままレギュラーでもおかしくない選手がベンチに控えている。

 

 

 

ヨコエク

 

 

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