「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

スタメンは不透明 [J1節大宮戦] (藤井雅彦) -1,417文字-

 

大宮アルディージャとの開幕戦を翌日に控え、樋口靖洋監督は力強く言い切った。

「チャンスを作って、シュートを打って、ゴールを決める」

 思わず笑みがこぼれてしまうくらい原始的な発言だが、これができていないのが現在のマリノスである。

4-2-3-1_開幕 ゼロックス・スーパーカップのサンフレッチェ広島戦、そしてACL第1節・全北現代戦ともにチャンスそのものが少なすぎる。全北現代戦で唯一とも言えるチャンスを決めきれなかった伊藤翔は「チャンスがゼロだったわけではない。1回あったら、その1回で決めなければ…」と唇を噛んだが、それはとても難しく、ハードルが高い。昨季序盤は卓越した個人能力を持つ助っ人ストライカーが攻撃をけん引した。しかし、彼はもういない。伊藤、あるいは矢島卓郎や藤田祥史、端戸仁といった面々にゴールを期待するわけだが、そのためにはチャンスの数を増やすアクションが欠かせない。

ここ2試合はチャンスを作る以前に、まったくと言っていいほどボールを保持できず、主導権を握れていない。「この2試合は主導権を握れていないことが敗因」(樋口監督)。特に全北現代戦に関しては辛抱強く守っていたが、あれだけボールキープできなければやはり苦しい。いつか瓦解してしまう。いかにマイボールの時間を長くし、そこからチャンスを構築していくか。当面の課題と言えるだろう。

ただし、これについてはメンバー編成である程度の解決が見えるのではないか。ポゼッションの核となる選手はもちろん中村俊輔だが、それを影から支える役目を誰に任せるか。昨季でいえば兵藤慎剛が果たしていた役割で、より相手ゴールを意識する藤本淳吾にそういった期待をかけるべきかどうか。ここ2試合スタメンから外れている兵藤を起用する一手は有効に思えるのだが。

 

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大宮4-2-3-1 ただ明日のスタメンに関しては不透明だ。全北現代戦から中3日で臨む試合で、メンバー編成が見えるような実戦練習は行っていない。1トップや右MF、あるいはボランチの人選も見えにくい。唯一、左SBにはコンディションが上がりきっていないドゥトラではなく下平匠が入ることが予想される。

すでに2試合を消化しているため、開幕戦を迎える新鮮さは薄れがちだ。対して大宮や大宮サポーターは胸を高鳴らせていることだろう。前日に14チームが開幕戦を行い、それを見聞きした上での初戦というのも高揚感を上げる要因である。高いモチベーションで臨んでくることが予想される。マリノスはというとまさかの2連敗スタートにトーンダウンしていないとは言い切れない。

やはりゴールがほしい。冒頭で紹介した指揮官のコメントこそ、いまの風向きを大きく変える特効薬だ。リーグ戦に関しては、いまはどのチームもスタートライン上にいる。昨年に続いてスタートダッシュを決めたい。

 

 

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