「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

少しでも貯金を多く蓄えるタイミング [J4節甲府戦プレビュー] (藤井雅彦) -1,400文字-

メルボルン・ビクトリー戦で中村俊輔の代役としてトップ下を務めたのは端戸仁だった。結果的に彼のプレースタイルが2トップを思わせるポジショニングにさせたわけだが、間違いなくその位置で起用されていた。

4-2-3-1_兵藤 遠征前に中村不在が決まったタイミングでは藤本淳吾のトップ下起用が有力視されていた。しかし、蓋を開けてみると彼はベンチスタートで、出番がやってきたのは1点のビハインドを追うハーフタイム明けからであった。『できれば起用せずに勝ちたいが、勝つために投入した』という見解が一般的であろう。

実際は違った。藤本は少し前から右アキレス腱に痛みを抱えており、その状態が芳しくなかった。マリノスタウンの硬いグラウンドによって患部が悪化し、広州恒大戦前には練習を休む場面もあった。どうやらそれに似た状況になっているようだ。メルボルンから帰国したチームが練習を再開した21日のピッチに藤本の姿はなかった。翌22日も全体練習には合流できず、ヴァンフォーレ甲府戦は回避することが決まった。樋口靖洋監督は「少しあとには連戦も控えているので、状態の良い選手を連れていく」と遠征メンバーについて言及した。

ここまでリーグ戦では全試合に先発し、伊藤翔と並んでチームトップの2得点を挙げている攻撃的MFを欠く。代わって右MFに入るのは兵藤慎剛となる。言わずもがな、昨季までの不動のレギュラーだが、ここで満を持してのリーグ戦初スタメンを飾る。藤本と比較したときにボールに関与する回数が多く、ポゼッションにも関わるのが特徴だろう。そうした中で相手最終ラインのギャップを突く動きや、齋藤学との絡みからペナルティエリア内に侵入できればチャンスが生まれる。

 

下バナー

 

甲府3-4-2-1 甲府について言えば、昨季リーグ戦では2戦して2引き分けと苦労した相手である。特にシーズン途中に3バックを採用してからは守備時の粘り強さが光る。「引いて守るだけでなく、ボールを奪いに行くときは全体が連動している」と樋口監督。状況次第での戦い方が浸透しており、非常に厄介な相手と言える。昨季途中からの戦い方を継続し、さらに前線にはクリスティアーノという個が加わった。これまでのリーグ戦同様にポゼッションできるだろうが、ゆえにカウンターをケアしなければいけない。

ただし総合すれば、勝ち切るのが難しい相手でも、取りこぼしは許されない相手である。メンバーの入れ替えがあるとはいえ、リーグ戦での好気流がACLで中断するパターンが続いており、直近のメルボルン戦もそうなってしまった。負の流れを払拭する意味でも、甲府戦では勝ち点3を義務付けたい。シーズン途中に手強い相手との試合が続くだけに、ここは少しでも貯金を多く蓄えるタイミングだ。

 

 

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ