「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

アウェイで3戦全敗、敗因はさまざまあり一つには断定できない [ACL6節広州戦レビュー] (藤井雅彦) -1,259文字-

 

逃げ腰だったとは言わない。弱気だったとは言わない。闇雲に前へ突き進めばいいというわけでもない。サッカーという競技の性質を考えたとき、なるべくボールを失いたくない。パスをつないで、ドリブルを織り交ぜ、シュートしてゴールが決まれば、美しい。攻めなければいけない状況でも、選手は確実なプレーを優先したくなるものだ。

4-2-3-1_兵藤 特に最近のように攻撃がうまくいっていない状態だと、その傾向はさらに強くなるのだろう。マリノスは最近のリーグ戦でほとんど点を取れていない。先にも述べたように、最近5試合でわずかに1得点のみ。よくよく考えてみると、これはかなり重症だ。いくら攻撃力に秀でていないチームとはいえ、これでは勝ち点は積み上げられない。

広州恒大戦でもそのままのチーム状態だった。まったくと言っていいほどボールが前へ進まない。中盤より前では誰もターンできず、ボールを運ぶ動作も少ない。ボールを受けても横方向か後方へのパスばかり。強引に最前線へ放り込んでも得策ではないため、それはしない。するとただ後ろでボールが回っているだけで、相手の陣形はまったく崩れない。いつかどこかでミスが発生し、結局はボールを失ってしまう。ちょっとしたポジショニングや判断のミスから失点となり、前半のうちに2失点した。

5試合1得点のチームが3得点するなど夢のまた夢だ。最後に齋藤学が、いわゆる“イタチの最後っ屁”のミドルシュートを決めたが“焼け石に水”である。今年の広州恒大はそれほど強豪ではないと思うのだが、それでも勝ち慣れているチームなのであろう。マリノスのように指標の定まっていないチームは戦いやすいはずだ。前線の個を生かしてゴールさえ奪えば、あとは帰陣を早くして守りきるだけでいい。

これをもって、マリノスの9年ぶりとなるACLは終焉を迎えた。結局のところはホームで2勝1分とまずまずの戦績だったが、アウェイで3戦全敗を喫した。当初、樋口靖洋監督は「ホームで勝ち、アウェイで引き分ける」ことを青写真としていた。つまり勝ち点の目標は『12』だったのである。しかし、それには遠く及ばない勝ち点7しか取れなかった。

敗因はさまざまあり、一つには断定できない。ただ間違いなく言えること。それは昨季よりもチーム全体のパフォーマンスが落ちていることである。その理由がリーグ戦とACLを並行して戦う日程面やフィジカルコンディションにあるのかもしれないが、残念ながら「目標にしていたのだから言い訳にはできない」(樋口監督)。できることならば良好な状態の、例えば昨季前半のようなマリノスがアジアで勇躍する姿を見たかった。

 

 

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