0‐7の処方箋(J論)

「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

 最大の疑問は兵藤のスタメンからのメンバー外への“二段階落ち” [J1第9節/FC東京戦プレビュー] (藤井雅彦) -1,844文字-

 

目の前にあるのはリーグ戦のみだ。ACLではJリーグ勢で唯一のグループリーグ敗退という悔しい思いをした。誰もが「あの舞台にもう一度立ちたい」と言う。ならばリーグ戦で結果を残すしかあるまい。この時期から年末にある天皇杯のことなど考えられない。リーグ戦5試合勝ちなしという苦しい状況にあるが、この状況を打破しなければ来年はアジアの大会に出場できないのだ。

4-2-3-1_藤田 一つの大会が終わっても樋口靖洋監督は「ターンオーバーしていく」と繰り返す。たしかに日本のカレンダーはゴールデンウィークを迎え、それに合わせて連戦が組まれている。集客を考えれば当然の施策であろう。しかし選手は体力面で厳しい戦いを強いられる。同じ力を持った選手が二人いて、どちらが出てもチーム全体の機能性を維持できるならば、うまくやり繰りしたほうがいい。

しかし現実的にはありえない。同じくらい能力が高くても、選手としての性質は違い、人間的な考え方も異なる。例えばマリノスには能力の高いボランチがたくさんいる。レギュラーボランチは富澤清太郎と中町公祐だが、小椋祥平や三門雄大、あるいは熊谷アンドリューにもリーグ戦での実績がある。いずれも周囲から力を認められており、いつ試合に出てもレギュラーと遜色ないパフォーマンスを見せてくれるはずだ。

それでも毎回のように入れ替えていたらチームとしてのパフォーマンスは安定しない。昨シーズンのマリノスが好例だ。メンバーを固定することで結果を出した。すると相手がどこであってもマリノスの戦いぶりを想定できた。そして、ほとんどそのとおりに展開された。いまは違う。蓋を開けてみなければ好調か不調か分からないチームになってしまった。メンバーを入れ替えれば入れ替えるほど、その傾向は強くなってしまう。

さて、問題のターンオーバーである。

 

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東京4-3-1-2FC東京戦に向けて、左SBには下平匠が戻る見込みだ。広州恒大戦で先発出場したドゥトラはベンチにも入らない。また、2列目には藤本淳吾の先発出場が濃厚になっている。しかしながら彼は開幕スタメンを張っていた選手で、そもそも負傷で離脱していただけである。したがって先発に帰ってくるという見方が正しい。一方で1トップの人選はわからない。伊藤翔か、あるいは藤田祥史か。リーグ戦前節の柏レイソル戦では藤田だったが、広州恒大戦は伊藤だった。その流れをどう読むか。ただ、いずれにしても役割と性能はそれほど変わらない。

最大の疑問は兵藤慎剛のベンチ外である。柏戦、そして広州恒大戦とスタメン出場していたが、ここへきてなぜか18人からも漏れた模様だ。FC東京戦を翌日に控え、樋口監督はチーム状態を以下のように話した。

「全体的に見たら昨年の今頃よりもパフォーマンスが落ちているかもしれない。持っている力を100としたら80~90くらいしか出せていない気がする。スイッチの入れどころが曖昧になっていて輝ける選手と輝けない選手がいる。ヒョウ(兵藤)に限らず何人かの選手は本来のパフォーマンスではなく、良さを出せていない」

 あえて兵藤のことを話しているのはこちらの問いに対する答えだから。ただし、起きている事象を組み合わせて考えると、彼を戦犯扱いしていると思われても仕方がない。兵藤自身のパフォーマンスが上がっていないのはたしかに事実だが、周囲との連動性の中で輝く彼のようなタイプが活躍できないのは、個人よりもチームとしても問題が大きいのではないか。何より、スタメンからのメンバー外への“二段階落ち”は当人に限らず選手たちのモチベーションに小さくない影響を与える。

選手起用は監督の絶対権限である。しかしながら、これで結果が出ないと苦しいチーム状況の中で“傷口に塩”になりかねない。指揮官への信頼が揺らいでいくのを止めるには、芳しくない状態のチームが結果を出すしかない。マリノスは難しい局面を迎えている。

 

 

 

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