「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「サッカー選手として一番良い年齢の時期にF・マリノスに加入しました。人間的な部分でも勉強になることがたくさんありましたし、このクラブの一員になれて本当に良かった」 [扇原貴宏インタビュー(前編]

【扇原貴宏選手インタビュー(前編)】

実施日:10月27日(水)

インタビュー・文:藤井 雅彦

 

 

 

加入当時は25歳だった中堅選手が、在籍5年という年月を経て30歳になった。

中澤佑二や栗原勇蔵といった偉大な先輩の背中を見て学んだ扇原貴宏は、後輩たちに何かを伝えなければいけない立場になった。

自身の立ち位置が変わり、考え方が変わり、立ち居振る舞いが変わる。

すべて扇原自身が成長するための要素で、避けては通れない道なのだろう。

扇原貴宏、30歳。

チームの中心選手が、静かに口を開いた。

 

©Y.F.M

 

 

練習に臨むにあたって年齢を考えたことはまったくない

 

――10月5日が30歳の誕生日でした。節目の年齢を迎えた心境は?

「あまり変わらないですね。若い頃に自分が想像していた30歳とは少し違います。それだけ年齢を重ねたのかと思うと不思議な感覚ではありますけど、30歳になったから急に何かが変わったということはありません」

 

――恐縮ですが、メディアは30歳をひとつの区切りや線引きにしてしまうことが多いと思います。あらためて『30』という年齢、数字をどのように受け止めていますか?

「プロサッカー選手という職業柄、年齢を重ねることは引退に少しずつ近づくことを意味していて、それは理解できています。ただ、自分の身の回りにいる30歳を過ぎた選手たちがだいぶ若々しい(笑)。老けている選手はいないですし、むしろみんなエネルギッシュです。だから自分が30歳になっても特に抵抗がないのかも」

 

 

 

――例えば水沼宏太選手は31歳ですが、とても元気ですよね。

「めちゃくちゃ元気ですし、とにかく明るいです(笑)。大津くん(現・ジュビロ磐田)も若々しかったし、本当にみんな活力に溢れているオーバー30ばかりです」

 

――では、ひと昔前の30歳のイメージは?

「正直に言うと、自分がプロになったばかりの頃の30歳はベテランというイメージでした。実際に、練習の強度や量をセーブしながらこなす姿を見てきましたし、その日のコンディションと相談しながら練習に臨む選手もいました。その点で、今の自分は体が痛いと感じる部分はないですし、20代からの変化はありません。時代の違いかもしれないですが、10年前と今では同じ30歳でも位置付けが違うのかなと」

 

 

 

――体やコンディションの面で変化を感じることは?

「体力面に関しては(トレーニングを)継続し続けないと落ちてしまう年齢かもしれません。20代前半の頃は少し休んでもすぐに元通りになったけど、今は2~3日休むとコンディションを戻すのに苦労します。ただ、しっかりトレーニングできればコンディションを保つことはできますし、もっと伸びると感じる部分もあります。年齢よりも自分次第です。ケガの予防に関しては、練習以外の時間の使い方やメンテナンスが重要になってくると思います。特に自分は身体能力が高いわけではないので、より一層気をつけないといけません」

 

©Y.F.M

 

 

――練習をセーブしようと考えたことは?

「練習に臨むにあたって年齢を考えたことはまったくありません。だから『これ以上やったらケガをするかも』なんて想像したこともないです。F・マリノス加入後に大きなケガをしたのは、2019年のひざ(※右ひざ内側側副靭帯損傷で全治6週間の診断)くらい。それも事故的な接触プレーだったので、それ以外にケガなく過ごせているのは自分の取り組みが間違っていなかったという証拠でもあると思います。でも、これからも同じ取り組みでケガをしない保証はないので、しっかりトレーニングして、しっかりケアしていきたいです」

 

 

 

 

ギラギラ感がなくなったら選手としては生き残っていけない気がする

 

――初めてインタビューさせてもらったのは加入1年目の2017年で、当時の扇原選手は25歳でした。もうすぐ加入から5年が過ぎようとしています。

「充実していたからこそあっという間に感じます。サッカー選手として一番良い年齢の時期にF・マリノスに加入しました。人間的な部分でも勉強になることがたくさんありましたし、このクラブの一員になれて本当に良かった」

 

 

 

――チームとしてはさまざまな出来事がありました。中身の濃い5年間だったのでは?

 

「濃過ぎます(笑)。・・・

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