「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

セレモニー終盤、ゴール裏から小倉SDに向けて横断幕が出た。 来季へ向けた戦いはもちろんスタートしている [J第38節 川崎戦レビュー]

 

野性的に決めた23点目

 

その瞬間、スタジアムのボルテージは最高潮に達した。

リスタートからのボールを受けたエウベルが左足でグラウンダーパスをゴール前へ送る。ニアサイドに入り込んだレオ・セアラはボールをミートできなかったが、後方で動き直していた前田大然が左足で冷静にゴールネットを揺らす。

 

 

「あまり覚えていなくて、とりあえずゴール前にいてボールが来たという感じ」

 照れ笑いを浮かべたが、これまで積み上げてきた得点と同じように絶対に足を止めなかったからこそのゴールだ。

先にレアンドロ・ダミアンがさすがのヘディングシュートで一歩先を行った。少なからずプレッシャーがかかっていたのは想像に難くないし、そもそもチームメイトからのパス一つひとつにもプレッシャーを感じる状況だったかもしれない。

 

 

でもゴールシーンのように無心で動き、飛び込めば、チャンスは必ず転がってくる。緻密に計算しての得点ではなく、野性的にプレーしてこそ前田大然。

終盤には自陣まで全力で戻り、途中出場で元気いっぱいの小林悠が仕掛けたドリブルに対して、体を張ってブロック。この試合でも断トツのスプリント回数47を記録し、おそらく半分は守備のためのダッシュで、すべてはチームのための全力疾走だった。

 

 

「彼も得点王に値する選手だと思っていた。一緒に得点王になれてうれしく思う」(レアンドロ・ダミアン)

 ともに23ゴールで得点王に輝いたライバルは素直に賛辞を送っていた。

リーグ1位の総得点82を叩き出したマリノスから、得点王が誕生した。こんなに誇らしいことはない。

 

 

 

 

2位に100点満点は与えられない

 

チームとしては90分間で川崎フロンターレを上回れず、1-1の引き分けに終わった。

 

 

しかしながら開幕戦との違いは明らかで、その差は確実に詰まっていることを実感できるパフォーマンスだった。

 

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